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脂肪肝のない人たちが積極的に摂っていた乳製品が判明。4万人データ。【医学論文】

黒澤恵(Kei Kurosawa)医学情報レポーター

肝臓だけの病気ではないNAFLD

NAFLD(ナッフル・ディー)という言葉はご存知ですか?「非アルコール性脂肪性肝疾患」の略語で、お酒をそれほど飲まないのに肝臓に脂肪が蓄積した状態を指します。名前に「肝疾患」と入っていますが、その影響は肝臓だけにとどまりません。

NAFLDがあると将来認知症になるリスクが高くなる [過去記事] だけでなく、心筋梗塞や脳卒中を起こす確率も1.5倍以上高くなります [文末文献1] 。決して放置してはいけませんし、何より予防が大切です。

NAFLD予防の王道は運動です。「でも忙しくてそんな時間は取れない」。そんなあなたに朗報です。NAFLDでない人たちがよく摂っている乳製品の種類が分かったのです。同じような食生活をすればNAFLDを予防できるかもしれません。少し前となる5月3日ですが、学術誌「栄養・代謝と心臓血管系疾患」に掲載された、カナダ・アルバータ大学のEmad Yuzbashian氏らによる論文をご紹介します [文末文献2]。

4万人以上で食生活を解析

今回Yuzbashian氏たちが解析したのは、これまでに報告されている11の観察研究データ。いずれも乳製品接種状況とNAFLDの有無を調べたものです。11の研究が対象とした人数は総数で4万4千人弱。かなりの大人数です(それだけ信頼性は高い)。

ミルクとヨーグルトはOK、チーズはNG?

その結果、ミルクとヨーグルトの摂取量が多くなるほどNAFLDである可能性は低くなっていました。そして意外なことに、チーズをたくさん食べる人にはNAFLDが多いという結果でした。いずれにせよ、NAFLDが気になるなら、チーズは避けてミルクとヨーグルトを積極的に摂った方が良いかもしれません。

食事については次のような論文紹介記事も書いています。こちらもぜひお読みください。今週は少し短めでした。来週にご期待ください。では!

今回ご紹介した論文

  1. NAFLDがあるとない人に比べ、「心筋梗塞・脳卒中・心不全・それらによる死亡」の危険性が1.63倍に増加する [英語]
  2. 乳製品の摂取パターンでNAFLDのリスクに差 [英語]

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【注意】本記事は最新の医学論文についての紹介あり、研究結果の内容はあくまでも「論文筆者」によるものです。また論文の解釈は論者により異なる可能性もあります。あくまでもご自身の見解形成の参考としてお読みください。

医学情報レポーター

医療従事者向け書籍の編集者、医師向け新聞の記者を経てフリーランスに。15年以上にわたり新聞社系媒体や医師向け専門誌、医療業界誌、会員向け情報誌などに寄稿。近年では医師向け書籍も共著で執筆。国会図書館収録記事数は3桁(含筆名)。日本医学ジャーナリスト協会会員。

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