キヤノン電子衛星搭載のエレクトロンロケット 打ち上げ失敗
日本時間2020年7月5日午前6時19分、米ロケットラボの衛星打ち上げロケットElectron(エレクトロン)13号機(ミッション名“Pics Or It Didn't Happen”)がニュージーランドのマヒア半島の射場から打ち上げられた。打ち上げからおよそ4分後、第2段のエンジン燃焼中に異常が発生、機体は衛星と共に喪失し打ち上げは失敗した。
エレクトロン13号機は、3社の地球観測衛星を搭載したミッション。主衛星はキヤノン電子が開発した超小型地球観測衛星「CE-SAT-IB」。50×50×85センチメートル、67キログラムの衛星で地上を撮影する望遠鏡にキヤノン製EOS 5D Marck IIIカメラを採用している。2017年にインドのPSLVロケットで打ち上げられた同型のCE-SAT-Iに続く2機目の衛星として、分解能90センチメール(一辺が90センチメートル以上のものを識別できる性能)の撮像性能や姿勢制御の機能を実証する目的だった。
CE-SAT-IBのほか、Planetの地球観測衛星やIn-Space Missionsの超小型衛星などを搭載したエレクトロンロケットの打ち上げは、7月4日朝の打ち上げ予定が天候不順のため1日延期され、7月5日朝に実施された。打ち上げ直後は順調に飛行を続け、第1段の切り離し、フェアリング分離などの映像もロケット機体から届いていた。
第2段のエンジン燃焼中、高度180キロメートルを越えたあたりから中継映像に表示されていた高度の数値が下がり始め、異常をうかがわせた。機体からの映像が中断し、ミッションに問題が発生したことを告げて映像は終了した。
ロケットラボが発表した速報によれば、打ち上げからおよそ4分後の第2段エンジン燃焼中に問題が発生し、衛星を軌道上に放出する前にロケット機体を喪失したという。異常の原因は不明で、ロケットラボは米連邦航空局(FAA)と共に調査を行う予定とした。
エレクトロンロケットは、これまで初号機(試験機)での失敗のあとは商用ミッションでの打ち上げ失敗がなく、11回連続で打ち上げを成功させていた。ターボポンプを使わず、電動ポンプでエンジンへ推進剤を供給する他にない方式のロケットとして実績を上げていただけに、早期の原因究明が待たれる。また、日本のレーダー地球観測衛星Synspectiveの衛星など今後の打ち上げミッションへの影響も懸念される。