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大津高校DF野田裕喜は今季も“高校生Jリーガー”として羽ばたく

川端暁彦サッカーライター/編集者
U-18日本代表DF野田は今季も“高校生Jリーガー”になる

熊本の高校2年生

2月13日、九州高校(U-17)サッカー大会(九州高校新人大会)が開幕した。昨季、特別指定選手としてJリーグデビューを飾ったU-18日本代表DF野田裕喜(のだ・ひろき)は熊本県立大津高校の新主将としてこの大会に臨んでいる。

特別指定選手とは高校や大学のサッカー部、あるいは育成年代のクラブチームに所属する選手が、Jリーグのクラブに選手としてエントリーできるシステム。多くの選手がこの制度を使ってJリーグデビューを果たしているが、ほとんどが大学生で、高校生がこの制度を利用してデビューするケースはそう多くない。そんな中、大津の野田は昨季のJ2第42節、ロアッソ熊本の一員としていきなり先発デビュー。「なんか普通にやっていたね」(大津・平岡和徳監督)と言う堂々としたプレーぶりで、その存在を示した。

そのプレーぶりから才能を高く買った熊本は、まだ3年生にもなっていない野田へ早々に正式オファー。その回答を待たず、今季は「背番号5」という破格の待遇も用意し、特別指定選手としての起用も明言している。九州新人大会終了後、再び熊本の練習へ合流し、開幕へ備えることになるという。

野田は実際に体感したJリーグのピッチについて「ボールを持って落ち着いてビルドアップするところと対人では負けていないと思いました」と手応えをつかんだ一方で、「空中戦や背後へのボールへの対応」を課題に挙げた。「高校生相手だとやれる部分でも、工夫がないと通用しないですね」と言いつつ、「『プロの選手は1試合1試合、ワンプレーワンプレーに生活が懸かっているんだ』と実感しました」と精神面でも大いに刺激を受けた様子だった。

いきなりのプロリーグデビューで緊張はなかったのかと思ってしまうが、本人は「なかったですね。逆に楽しんでやれました」と笑顔を浮かべる。昨年U-17日本代表へ初招集を受け、今年はU-18日本代表にも名を連ね、“高校生Jリーガー”となったことも含めて浮かれてしまいそうな状況だが、「まるでそういう様子はないよ」と平岡監督。「植田直通(鹿島アントラーズ)もそうだったし、谷口彰悟や車屋紳太郎(共に川崎フロンターレ)もそうだった。そういう先輩たちの背中を見て育っていく流れが(大津では)受け継がれているからね」と言うが、そうしたメンタリティーも周囲から高評価を受ける理由だろう。

先日、野田は学校を訪れた植田と話をする機会をもらい、「プロに行けばうまくいかないところもたくさん出てくる。もっと上を目指さないといけない。お前ならやれる」と言われて大いに刺激されたという。「まずは県内三冠、そして日本一になる」と、主将としてチームの目標を語りつつ、「プロで1年目からやれる選手になりたい」と個人としての成長にも意欲を見せた。

高校サッカー界を代表するDFが、今季どんなプレーを見せてくれるのか。Jリーグでの活躍にも大いに期待しつつ、その成長を見守っていきたい。

Profile

野田裕喜(のだ・ひろき)

1997年7月27日生まれ(17歳)。熊本県上益城郡益城町出身。181cm/73kg。ブレイズ熊本ジュニア→ルーテル学院中学校→ブレイズ熊本ジュニアユース→大津高校。U-18日本代表、日本高校サッカー選抜候補。

サッカーライター/編集者

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカークリニック』『Footballista』『サッカー批評』『サッカーマガジン』『ゲキサカ』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。著書『2050年W杯日本代表優勝プラン』(ソルメディア)ほか。

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