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NY金23日:ドル安で反発も、上値では戻り売り

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比2.60ドル高

始値 1,093.40ドル

高値 1,104.90ドル

安値 1,091.60ドル

終値 1,094.10ドル

為替相場がドル安方向に振れたことで、短期筋の買い戻し主導で小反発した。

前日の取引終盤からのドル反落傾向が維持される中、本日はショートカバー(買い戻し)が優勢の展開になった。特に欧州タイム入り後はギリシャが第三次救済策の獲得に近づく中でユーロ高・ドル安が進んだことが、金相場を一時1,104.90ドルまで押し上げた。ただ、その後はドル安一服と連動して戻りを売られる展開になり、上げ幅を削って引けている。

米マーケットでは企業決算発表が本格化しているが、キャタピラーや3Mの業績見通しが市場コンセンサス比でネガティブな数値になったことが、株安・債券高を促し、米金利は低下傾向を見せている。しかし、改めて金相場に買いを入れるような動きまでは見られなかった。米利上げ観測の中での金利低下傾向は、金相場の下落ペース鈍化要因になるとみられるが、これを手掛かりに相場を反転させるまでのエネルギーは確認できていない。

引き続き上海現物市場の売買高が高水準を維持しているが、現物市場主導で安値是正を進めるような動きはみられない。金上場投資信託(ETF)市場からはなお急ピッチで資金が流出しており、現物需給の逼迫感は強まりづらい。

来週28~29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に調整が入る可能性もあるが、米金融政策の正常化プロセスに対して強い信頼感が維持される中、反発余地は限定されよう。特にETF売却の動きが続いている間は、売り安心感が強い。相場反転には、鉱山分野の生産調整、または現物需要の更なる拡大が要求される。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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