超長期国債先物取引が2014年4月に再開か
東京証券取引所に上場している国債先物は、長期国債先物だけではない。残存期間5年・利率3%の中期国債を標準物とした「中期国債先物」がある。また、残存期間20年・利率6%の超長期国債を標準物とした「超長期国債先物」があった。さらに2009年3月から売買単位を従来の長期国債先物の10分の1とした「ミニ長期国債先物」が上場した。
このうち超長期国債先物取引は2002年の12月限月以降は新たな限月取引を休止している。中期国債先物取引も現在ほとんど売買がない。ミニ長期国債先物も同様である。これは日本の債券先物の売買が長期国債の中心限月に集中しているという事情が影響している。それだけ長期国債先物の使い勝手が良かったということでもあろうか。
中期国債先物については、超低金利が継続していることも影響し、価格変動が限定的であったことで、ニーズが乏しくなっているものと思われる。
ミニ長期国債先物は、主に個人の流入を狙ったものであるが、個人の債券市場への認知度がさほど高くなく、債券そのものの専門知識も得がたいことや、機関投資家や業者と呼ばれるプロ達との情報格差なども影響して売買が低迷しているものと思われる。ただし、2014年3月の東証と大証とのデリバティブのシステム統合後には、ネット証券を通じての売買機会も増える見込みのようである。
超長期国債先物は1988年に開始されたが、そもそも超長期国債の発行額がさほど大きくなかったことや、現物債の流動性も長期国債に比較して低いことなどが影響し、2002年に休止となった。このときの東証からのお知らせにも、当取引所は取引ニーズのない、不採算・非効率となった商品について、経営効率化及びシステム資源の有効活用の観点から適切な措置を採ることとし、最近の取引高がゼロとなっている超長期国債先物取引及び中期国債先物オプション取引について、新たな限月取引の休止を行うことといたしました、とあった。
この超長期国債先物取引が2014年4月をメドに再開される見通しと、5月3日の日経新聞が報じている。これは超長期国債の発行額が2002年当時に比べてかなり大きくなっていたこともある。たとえば2002年12月に発表された2003年度の超長期の発行額(当初予算ベース)は、20年債が隔月8000千億円、30年は四半期ベースで毎回4千億円しかなかった。これが2013年度では、20年債が毎月1.2兆円、30年債が5000億円4回、6000億円8回、40年債が4千億円4回となっている。
日経新聞によると「日銀による大胆な金融緩和の影響で国債相場が乱高下する例が出ており、多様な取引機会を提供することで国債市場の安定につなげる」ことも超長期国債先物の再開の理由にあげているそうである。
たしかに4月4日の日銀の異次元緩和により、国債発行額の7割強も買い入れる日銀という池の中へのクジラの進出で、国債の流動性への懸念が特に超長期債市場で強まったことで、一時超長期債のオファーとビッドが拡大、というよりビッドがなくなるような状態に陥り、債券市場の乱高下の大きな要因ともなっていた。超長期国債先物で、ある程度のヘッジが可能となれば、このような状況も緩和される可能性がある。