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対米輸出が好調の中、北海道産ホタテや牛肉をNYに紹介【原発処理水放出と中国の禁輸措置から1年】

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
演歌が流れる北海道の農家で飼育されたという牛肉。(c) Kasumi Abe

福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出と、それに反発した中国の日本産水産物の輸入全面停止から今月24日で1年が経った。そんな中、アメリカ・ニューヨークのレストランで、海産物を含む北海道産の食材紹介イベントが行われ、当地の飲食関係者やインフルエンサーらが舌鼓を打った。

21日に開催された「北海道プレミアムナイト」には、北海道の鈴木直道知事らも参加した。北海道から取り寄せたホタテ、和牛、長芋をマンハッタンのレストラン、Oceans(オーシャンズ)のアンディ・キットコ(Andy Kitko)料理長が料理に使ってアレンジし、参加者に提供した。

キットコ料理長による北海道産ホタテを使った創作料理。ホタテは新鮮でプリプリの食感だった。(c) Kasumi Abe
キットコ料理長による北海道産ホタテを使った創作料理。ホタテは新鮮でプリプリの食感だった。(c) Kasumi Abe

ダウンタウンにあるOceansでは日頃から寿司や創作系刺身(セビーチェなど)も提供しており、日本食が好きな人々でも賑わう店だ。「北海道のホタテは歯ざわりが違いますね。アメリカ産と比べて北海道産は絹のように滑らかで味わい深い」とキットコ料理長。

筆者らもキットコ料理長がイベントのために作った創作料理を試食したが、ホタテはプリプリしていて新鮮。演歌が流れる農家で飼育されたという牛肉は脂身が多めで柔らかい。アメリカ人の参加者も「Wagyuの中でも北海道産は初めて食べたが美味しいね」という声が聞こえた。

すべての料理ではないが、キットコ料理長のアレンジはニューヨーカーが好きな「ややピリ辛」なアプローチだと感じた。

Oceans Executive Chef, Andy Kitko (c) Kasumi Abe
Oceans Executive Chef, Andy Kitko (c) Kasumi Abe

「雪まつりやオリンピックなどを通して札幌、そしてスキーリゾートを通してニセコなどの知名度がニューヨークでもあると感じた」と鈴木知事。「日本産ホタテの8割は北海道でとれたもの。アメリカでも多くの方に体験してほしい」と話した。

これを機により多くのニューヨーカーに北海道産ホタテ料理を体験してもらうため、9月3日から同店で、4日から別の2店(Wayan、Ma•dé)でホタテメニューを無償提供する(提供条件は各店で異なる。食材がなくなり次第終了)。

この1年間、中国は日本の水産物の輸入を停止したままだが、その一方で対アメリカ輸出は好調だという。鈴木知事によると、例えば北海道産ホタテの昨年のアメリカへの輸出額は前年と比べて2倍に増加したという。アメリカでは今後もより多くの人々が日本、そして北海道産の海産物や食材を楽しむ機会が増えそうだ。

(Text and photos by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、著名ミュージシャンのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をニューヨークに移す。出版社のシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材し、日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。

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