【土浦市】生きた芸術!美しすぎて鳥肌が止まらない、72点の作品が集結する「亀城盆栽展」1/9まで開催
世界的なブームになっている「盆栽」は、小さな鉢の中で季節の情景や自然の息遣いが楽しめることのできる、まさに”生きた芸術“。格式の高いイメージがつきまとい、足踏みしていた盆栽の世界をこの機会に覗いてみようと行ってきたのが「亀城盆栽展」。盆栽の知識がなくても十分に楽しめる展示会です。
「土浦市亀城プラザ」で年に一度開催される盆栽の祭典
土浦駅西口から徒歩約15分。「亀城盆栽展」は、亀城公園の目前に立つ「土浦市亀城プラザ」で1月7日(土)~1月9日(祝・月)の3日間にわたって開催されています。
「土浦市亀城プラザ」の1階部分が会場です。エントランスを入ってすぐの市民ホールは、「大物(おおもの)」と呼ばれる種目のたくさん盆栽が訪れる人々を出迎えてくれます。
市民ホールに併設する「大会議室2」には、「小品(しょうひん)」「中品(ちゅうひん)」「水石(すいせき)」などの種目が展示されています。
エントランスを入って右側に受付があり、そこで記帳を済ませると出品者と種目、出品名が記載された目録をいただけます。
今回の出品数は大物、中品、小品、水石など計72品。一品一品をじっくり見ているとあっという間に時間が経ってしまうほどの盛りだくさんの内容です。
愛好家に教えてもらった盆栽鑑賞のポイントと楽しみ方
出品者によって展示する樹種が違えば、表現も違うので、盆栽の知識がなくても十分に楽しめるのですが、私のような初心者がもっと楽しめる鑑賞の仕方を「亀城盆栽展」を主催する実行委員会の方にお伺いしました。
【鑑賞ポイント①】鉢の高さで目線を合わせて見上げてみる
例えばこちらの作品。正面からも素晴らしい盆栽ですが、目線を鉢(台)の高さに合わせてみると…
森の中に迷い込んだ小人になったような景色が楽しめます。
鉢(台)の目線から見上げてみると、正面から見た盆栽の景色とまったく違うことに驚かされます。
市民ホールのステージに展示された大物も同じように鑑賞してみます。正面から見ても端正な佇まいの盆栽で、うっとりとしてしまうほど。
鉢の高さに目線を移して見上げてみると、木の肌のひび割れ、めくれた肌に苔むす様子が大自然にそびえる巨木のようです。
【鑑賞ポイント②】正面だけでなく、横、後ろ姿も楽しんでみる
見惚れる盆栽は正面だけでなく、横からでも後ろからでも美しいそうです。今回の展示では市民ホールのステージに展示された3作品が後ろ姿まで楽しめるのでぜひ鑑賞してみてください。
ステージ中央に展示された真柏の盆栽は、枯れたような根本と幹が印象的です。横から見るとさらにその木の美しさにふれることができます。
写真では表現できずに申し訳ないのですが、木の部分は薄枯れたような茶の部分と白くなった部分が共存するように立っています。この白い部分は、雷にあたった木肌が剥けてそうなることが多いそうです。
人工的に白い部分をつくることもできますが、これだけの白い肌は自然が生んだ産物。
「神(じん)」とも呼ばれているそうです。
葉の多い反対の側面から見るとまた違う表情を楽しめます。
後ろ姿もとっても芸術的です。こんな景色を見させてくれた出品者さんに心からの感謝を伝えたくなります。
ステージに展示されたもう1品の盆栽も同じく正面、側面、後ろ側から見てみましょう。
根本が隆起したような側面の景色は圧巻です。
青々と葉が生い茂る後ろ姿には躍動感があります。
【鑑賞ポイント③】「理想的」と評される5つの評価ポイントを知る
鑑賞の仕方や楽しみ方はさまざまですが、品評会などで盆栽を評価する時のポイントを知っておくと見方がまた違ってきます。大きく分けて5つのポイントが評価されるのですが、5つすべてが完璧なものはなく、3つ以上評価に到達していれば「名木」といわれるそうです。
上の写真の盆栽を見ながらポイントを教えてもらいました。
【ポイント① 根張り(ねばり)】
根の張り方を見ます。根は八方に広がって張っているのが理想的だそうです。
【ポイント② 立ち上がり】
根本から見ていって幹の始まる部分です。ぐっと力強く立っていることで、大木感が表現されます。
【ポイント③ コケ順】
「しぼり」ともいい、上にいくほど細くなるのがバランスが良いとされています。
【ポイント④ 枝順(えだじゅん)】
根本から数えて最初の枝が一の枝、幹を挟んで左右に分かれて二の枝、三の枝とつながっていきます。根元から上に向かって左右交互に枝が出ていることが自然美へとつながっていきます。
【ポイント⑤ 葉性(はしょう)】
その名の通り、葉のもつ性質をいいます。一般に良いとされる葉性の条件は針葉樹では、葉が短い、真っすぐ、鮮やかさなどが挙げられます。混みあっている、粗いなどの葉と葉の間もチェックポイントです。
感動がより深まる、おすすめの鑑賞ルート
出品者さんが手塩にかけて育てた自慢の盆栽なので、当然どれを鑑賞しても見ごたえがあるのですが、ここではより感動的で、盆栽が好きになる回り方をご紹介します。
【鑑賞ルート①】小品コーナーで小さな盆栽の世界を堪能する
「小品」は、樹高20センチまでの手のひらサイズの盆栽のことで、盆栽展では決められたスペースのなかで小品をバランスよく配して展示されています。
どの盆栽がどの樹種かも記載されているのでとても分かりやすいです。自宅で盆栽を始めるのにもぴったりのサイズなので最初に小品を鑑賞すると身近に感じることができます。
小さいのにしっかりと実がついた「寒ぐみ」。この実の見せ方もまたポイントです。
こちらは別の方の小品展示。鉢や土台の使い方も楽しいです。
華やいだ雰囲気の小品作品。
鉢の上に実る姫リンゴが愛らしいです。
こちらは小品と水石、中鉢を組み合わせたアイデア作品。
奥に配された三角屋根の置物は「茅舎石(くずやいし)」と呼ばれる水石で、古民家のような昔懐かしい家の形をしているのが特徴です。その石を家に見立てて庭先で雀が遊んでいるイメージに。目線を台の高さに合わせると昔話の世界に引き込まれるかのようです。
こちらの作品には中品(ちゅうひん)も含まれていて、特徴ある葉の色彩が小品の世界に美しさを添えています。
葉の部分に目をやると鮮やかな赤い部分が印象的です。「紅孔雀松」という品種で、寒くなると赤くなる品種だそう。春になると白くなっていくので今が見ごろです。
【鑑賞ルート②】水石の面白さを知る
「盆栽なのになぜ石?」と思ってしまいましたが、盆栽のように石を鑑賞して芸術を感じるのも魅力なのだそうです。
盆栽が自然の野山などを鉢の中で表現したものであれば、水石は海岸の絶壁や岩肌で自然の脅威に耐える風景などを表現したもの。
じっと見ていると確かに石の世界に引き込まれていきます。
海の中の世界を思わせるようなこの水石は加工などをしていない自然のままの姿。地球が生み出した美しい産物です。
【鑑賞ルート③】同じ樹種で違う表現を楽しむ
同じ樹種でも育てる環境や出品者の表現したい方向性などで、まったく違う表情を楽しむことも。今回の展示では老爺柿(ろうやがき)が2つ展示されていて、上の写真はコロンとしたフォルムが可憐な老爺柿。
その先にはハートのような形の実がなる老爺柿も。
椿を使った盆栽も多く、さまざまな表情や鉢と木とのバランスの違いも楽しめます。椿は、小品、中品、大物に点在しているので行ったり来たりを楽しむのも一案です。
【鑑賞ルート④】大物で盆栽芸術に心酔する
鑑賞ルートの最後はダイナミックな盆栽が楽しめる大物(おおもの)鑑賞です。樹高50センチ以上が大物に分類され、これまで鑑賞してきた小品、中品のしめくくりにふさわしい壮大さに浸ることができます。
大物コーナーの奥にステージがあり、そこに展示されている3つのは「超一級品」と敬われる盆栽です。長い歴史をかけて刻まれた独特の表情にロマンが感じられます。
初心者でも挑戦できる樹種も。即売コーナーも必見です
盆栽鑑賞を堪能した後、「私もやってみたい」という意欲が芽生えた方は、会場内にある即売コーナーへ寄ってみてください。
初心者でも気軽に始められる樹種から愛好家向けの貴重な樹種もあります。「育て方が分からない」など心配な方は、受付周りに亀城盆栽展実行委員会の方がいらっしゃるのでアドバイスをもらうのがおすすめです。
土浦でこれだけ大規模な盆栽展は年に一度だけですので、ぜひ出かけてみてくださいね。
盆栽に興味のなかった方でも楽しく鑑賞できるはずです。
<イベント情報>
第12回 亀城盆栽展
会期:2023年1月17日(土)~9(祝・月)
9:00~16:00(最終日の1/9は9:00~15:00)
会場:土浦市亀城プラザ 1階 市民ホール・大会議室2
入場料:無料
住所:茨城県土浦市中央2-16-4 MAP
電話番号:029-824-3121(土浦市亀城プラザ)
駐車場:あり(無料)