戦争とPTSD:米軍基地内銃乱射事件:帰還兵への心のケア
■米軍基地内銃乱射事件発生
■PTSDとは
PTSDとは、心的外傷後ストレス障害と呼ばれるもので、簡単に言えば、心の傷の後遺症と言えるでしょう。命にかかわるような衝撃的な出来事で心に傷を負い、長期的に様々な症状が出ます。
代表的な表情としては、
・侵入症状 (再体験、フラッシュバック):突然そのときの恐怖や不安がよみがえってきます。
・回避と麻痺:辛い記憶がよみがえらないように、そのような場面を避けたり、感情が麻痺した状態になったりします。
・過覚醒:震災後に、小さな揺れでもひどくびっくりするように、緊張し、過剰な反応をします。
これらのことが、日常生活を脅かすように激しく出ることもありますが、しかしPTSDが直接的な原因として銃を乱射するようなことは考えらません。
■戦争とPTSD
戦争のような過酷な状況でPTSDが起こるのは当然です。戦闘の激しさがPTSDに影響するのはもちろんですが、社会的状況も影響を与えます。社会が戦争に反対している、達成感がない、帰還しても歓迎されない、そのような状況で特にPTSDが出やすくなるようです。
また、戦争前の日常生活において心が傷つく体験をしていた人たちは、PTSDが発症しやすくなります。
中には、恵まれない環境の日常生活よりも、軍隊での生活のほうが充実していたために、除隊後不適応を起こす人もいます。
■大量殺人、銃乱射の心理
大量殺人者の多くは、孤独と絶望感に押しつぶされた人です。この世界も終わりにし、自分の人生も終わりにしようと思う人です。学校内で銃を乱射するような人は、もともとは有能であっても、何か上手くいかず、被害者意識を強くし、暴力を信奉し、世の中を正すような思いで、犯行に及びます。
■PTSDの症状と影響
PTSDの症状として、たとえば悪夢を見て汗びっしょりになって飛び起きるといったものは、いかにも心の病という感じがするでしょう。でも、PTSDの影響はそのような激しい症状だけではありません。
たとえば、以前は違っていたのに、人生の大事な場面で、勇気がわかない、なかなか決断できないといったこともあります。このようなケースでは、本人も周囲も、それがPTSDによるものとは感じにくく、悩んだり、責めたりします。そうなると、進学、就職、結婚といった場面で、なかなか上手くいかないことも起きてしまいます。
今回の犯人も、戦争からの帰還後、人生が上手くいかなかったのでしょうか。簡単に犯人に同情はできませんが、恐ろしい犯罪を防ぐためにも、心の傷を負った人を長くケアしていく必要があります。
戦争で傷ついた人は、国家の犠牲者なのですから。
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PTSD 心的外傷後ストレス障害:心の傷に負けないために(心理学総合案内こころの散歩道)