“セクシー旋風”のアン・シネが次に問われるものとは…。韓国スポーツ総決算2017。
今年も日本のスポーツの世界では韓国に関するさまざまな出来事が話題になった。野球WBCでの韓国代表の惨敗、ACLでのKリーグ勢の不振に済州ユナイテッドが浦和レッズ戦で巻き起こした乱闘騒ぎ、直近ではE-1選手権でハリル・ジャパンに歴史的大勝を飾ったサッカー韓国代表が日本で話題になった。
ただ、2017年に日本でもっとも話題になった韓国アスリートと言えば、女子プロゴルフのアン・シネで決まりだろう。今年5月に日本女子プロゴルフツアーに参戦。“セクシークイーン”旋風を巻き起こした。
“韓国美女ゴルファー・神セブン”に名を連ね、もともと韓国でも人気者だったが、日本ではさらに人気爆発。ゴルフ・メディアだけではなく、一般誌でグラビアを飾り、テレビのバラエティ番組にも多数出演した。韓国での活動も日本でくまなく報じられたほどだ。
(参考記事:写真20連発!! 韓国で“ホステス・プロ”を務めたアン・シネに完全密着!!)
日本でどれだけ話題になったかということは、12月6日に発表さたれた『Yahoo!!検索大賞2017』でもわかる。
2015年から始まった同賞は、その年にもっとも検索数が急上昇した俳優、女優、アイドル、お笑い芸人、モデル、ミュージシャン、声優、アスリート、作家、アニメ、映画、ゲーム、小説、ドラマ、流行語などを決める賞だが、アン・シネは「アスリート部門賞」を受賞したのだ。韓国人アスリートで選ばれたのは、アン・シネが初めてだ。
その人気を図るバロメーターは受賞だけではない。彼女のインスタグラムのフォロワーの数を見てもわかる。
もともとアン・シネはインスタグラムなどSNSへの発信に積極的で、ドレス姿や水着姿までプライベートなども大胆に公開してきたが、日本参戦した今年は日本人ファンのフォロワーが急増している。
(参考記事:韓国ゴルフ界の超絶セクシークイーン、アン・シネのSNSがスゴい!!)
現在、そのフォロワーの数は12万人を超えており、日本のネット・メディアなどは更新がある度に「アン・シネがインスタグラムにこんなコメントを残した」とニュースで発信しているほどなのだから驚く。
韓国スポーツを20年近く取材してきた経験からすると、これは異例中の異例だ。
というのも、振り返ると過去に日本でもその名を轟かせた韓国人アスリートは多い。
フィギュアスケートのキム・ヨナ、マンチェスター・ユナイテッドで活躍したパク・チソンなど世界的知名度を誇るアスリートは言うに及ばず、サッカーのアン・ジョンファンなど日本で活動することで一般にも認知を広げた選手も多くいる。女子ゴルフではイ・ボミなどはその典型だろう。
ただ、正味1年足らずでゴルフ・ファンだけではなく一般層にもその名が知れ渡り、個人の発信であるはずのSNSがニュースとして取り上げられてきた韓国人アスリートは皆無に近い。まさにアン・シネは今年、「日本でもっとも話題になった韓国人アスリート」だった。
そして、それは彼女のパーソナリティもさることながら、マネージメント戦略の成果とも言えなくもないだろう。
というのも、アン・シネは日本のテレビ番組にも多く出演。日本のタレントたちとのトークやちびっ子のゴルフ・ファンとの交流にも積極的だった。そういった取り組みが彼女の知名度や好感度を高め、ゴルフ・ファンだけではなく、一般層にも認知されるキッカケになった。
同じ建国大学の先輩であるイ・ボミやキム・ハヌルも、韓国での人気を引っ提げて来日して日本でも人気者になったが、アン・シネがわずか1年で知名度を高めることができた背景には、言わば“マネージメントの現地化”も効果を発揮していたことは否定できない。
(参考記事:徹底調査! アン・シネ、イ・ボミ、キム・ハヌル。韓国で最も人気があるのは…。)
今季の試合出場や取材対応・番組出演など日本におけるアン・シネのマネージメントは日本の会社が行っていたようだが、韓国流のマネージメントではそういったメディア露出にも限界があっただろう。
興味深いのは、ゴルフ雑誌『GEEN GORA』では、「ポスト“アン・シネ”と話題のふたり」という特集を組み、韓国でも“次世代セクシークイーン”と呼ばれるユ・ヒョンジュや、前出の“韓国美女ゴルファー神セブン”にも名を連ねるパク・キョルを紹介したりもしていることだ。アン・シネ効果もあって韓国美女ゴルファーの“青田買い”も始まっているのだ。
その話題性でさまざまな相乗効果も生んだアン・シネ。ただ、その一方で成績面は振るわなかったことは残念である。
今季は日本ツアー14試合に出場し、最高位は『ミヤザキテレビ杯ダンロップ女子オープン』の12位タイが最高成績。予選落ちは4回・1度の棄権もあり、年間賞金ランキングは83位だった。
しかも、来季のフル参戦を目指して挑んだファイナルQTも71位で終わっている。話題性や人気面では成果があったが、肝心の実力面ではまったくアピールできなかった。「期待外れの結果に終わった」と指摘されても、返す言葉はないだろう。
ただ、その悔しさはアン・シネがもっとも噛みしめているはず。来季前半は主催者推薦(最大で8試合まで)に限られてしまったが、それでも「来季も日本でプレーする」と表明しているところに、彼女の決意が滲む。
サッカー・トルコ代表の“イルハン王子”やあざらしの“タマちゃん”など、日本では飛躍的に知名度を伸ばして人気者になるも、気が付くと忘却の彼方に追いやられしまった“消えたアイドル”は多い。果たしてアン・シネも、単なる“バブル人気”で終わってしまうのか。
2018年こそは“プロゴルファー”としての捲土重来を期待したい。