ぺんてるの3000円の高級シャープペンが売れすぎでまったく供給が追い付かない理由
ぺんてる株式会社が2月16日に発売したオレンズネロ。オレンズネロはシャープペンシルというジャンルでは、破格の値段ともいえる3,000円。シャープペンシルのフラッグシップモデルです。
しかしながら、発売以降予想をはるかに超えた売上となっており、発売後1か月経った今となっても、要するに需要に供給がまったく追いついていない状況です。一部ECサイトではプレミア価格となっており、実店舗でも入荷するとすぐになくなってしまうほどの人気です。
さて、そのオレンズネロ。まずはどういう商品なのかをご説明しましょう。オレンズネロはひと言でいうと1回シャープペンシルをノックしたら、芯がなくなるまでずっと書き続けることができる「自動芯出し機構」を持ったシャープペンシルです。ぺんてるのオレンズネロのテストでは、太宰治の「走れメロス」を最初から最後まで書き写すことができたそうです。もちろん「オレンズ」の名前からもわかるように芯も折れません。
[オレンズネロ|商品紹介|ぺんてる株式会社 オレンズネロ|商品紹介|ぺんてる株式会社]
[オレンズネロ|商品紹介|ぺんてる株式会社 http://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/orenznero/]
発売日前日にはブロガー向けに発表会イベントも開催されており、筆者も参加しておりました。
こちらでも、芯がなくなるまで書き続けることができるというオレンズネロの性能をサンプルとして、野村康生さんによる細密画が紹介されていました。
さて、このオレンズネロの生産がまったく追いつかないという予想しなかった事態。この状況についてぺんてる自身は、どう受け止めているのか。問い合わせをしてみたところ、オレンズネロの担当の方からすさまじくていねいでまじめな回答をいただきました。
『orenzneroの品薄状態について』
お陰さまで出荷開始以来ご好評をいただいているオレンズネロですが、店頭では品薄状態が続き、手に入れたい多くに人にお届けできないことについて、メーカーの人間として心を痛めています。意図して品薄状態にして飢餓感を煽っているかの様に一部で言われているようですが、その様な意図は全くなかったことをお伝えすると共に、お詫びしたい心境です。オレンズネロは通常のシャープペンシルと比較して、部品点数が非常に多く、また、自動化が困難な設計で、製造は手組みで行っているため大量生産できないことが、この様な品薄を招いています。お客様のご要望がある限り引き続き増産に努めて参りますが、ご理解ご了承いただけると幸いです。
オレンズネロがなぜ3000円という価格設定なのか?、さらになぜ大量生産できないのか?の答えが上のコメントの中に書かれています。最大の理由は、とにかく部品点数の多さです。
オレンズネロの部品手数は22点。
通常のぺんてるのシャープペンシルの部品点数は10点。つまり、オレンズネロは通常のシャープペンシルの倍以上の部品を使って製造されているのです。
さらにオレンズネロで採用されている部品はどれもこれも最高の書き味と芯を送り出すために採用されている精度の高いものばかり。それが0.3mmや0.2mmというスケールの世界でくみ上げられているので、どうしても大量生産できないのです。
そして複雑な内部機構だけではなく、外側のボディも12角形軸でも、樹脂と金属を混ぜた特殊材質が採用されています。そのため、オレンズネロを実際に持つと、少しひんやりとした感じさえ受けるのです。それがグリップの良さと書きやすさを実現しているのは言うまでもありません。
なお、オレンズネロに人気が集まっているのは、なにも文房具好きだけではありません。このストレスなく書き続けることができるという性能をある意味いちばん求めている受験生の間でもニーズが高まっているのです。長時間勉強していると、シャープペンシルの芯が折れるなんていうことがきっかけで、集中力がなくなってしまったりします。
まだまだ店頭に潤沢に商品が並ぶまでには時間がかかりそうなオレンズネロですが、店頭で見かけることがあれば、ぜひ一度手に取って試してみてください。価格に見合うだけのこれまでにないシャープペンシル体験を得られるはずです。