NY原油3日:OPEC総会を前に買戻しが膨らみ、反発
NYMEX原油1月限 前日比1.14ドル高
始値 40.15ドル
高値 41.78ドル
安値 40.07ドル
終値 41.08ドル
石油輸出国機構(OPEC)総会に対する警戒感や欧州中央銀行(ECB)理事会後のドル安(ユーロ高)を受けて、原油相場は反発した。
前日は40ドルの節目を割り込む展開になったが、本日はアジアタイムから40ドル台中盤を中心に底固い展開になった。明日にOPEC総会を控えているが、一部でサウジが他産油国との協調姿勢を示すといった観測報道が流れたことを受けて、イベントリスクから売りポジションの整理が行われた模様。ニューヨークタイムに入るとドル安も支援材料となり、41ドル台まで上げ幅を拡大している。
OPEC総会に関しては、基本的には大きな産油政策の変更は想定しづらい。ベネズエラやイランなどが減産対応の必要性を強く訴えており、サウジアラビアも協調減産で合意したとの報道もみられる。ただ、逆に生産政策の変更は見送るといった報道もあり、加盟国がメディアを使用して政策据え置き/減産のプレッシャーを掛ける情報戦を展開していることが窺える。もっとも、仮にOPECが減産対応に踏み切って原油相場が上昇すれば、シェールオイルなどタイトオイルに増産圧力が強まるのは必至であり、単純にOPECからシェールオイルに対して市場シェアを譲り渡すだけの結果に終わる可能性が高い。
仮に政治的文脈から減産対応が実施されれば、原油相場の急伸は必至である。WSJなどは、事前協議で減産が合意されたと報じており、メディアを通じて流れる関係者の発言も正反対の方向を向いて交錯していることには注意が必要。6月のOPEC総会時とは違ったムードがみられるのは間違いない。実際にOPECが大規模な減産に踏み切る可能性は低いと考えているが、イベント前とあってリスク軽減も選択肢になり、その結果が本日の原油相場反発と言えるだろう。
国際原油需給の緩和見通しを修正するのが困難な状況が続く中、原油相場はなお下値不安の大きい相場展開が続き易い。ドル高圧力が継続し易いこともネガティブ。OPECが原油需給・価格に再び責任を持つような大規模な政策転換を実施しない限りは、戻り売り基調を崩すのは難しい。現行価格でも減産圧力が確認できる中、ここから急落するような必要性までは認めていないが、少なくとも大きく反発して減産圧力を緩めるようなことは許容されていない。目先は、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かった際に、どの程度の反発力が見られるのかが注目される程度である。40ドル割れ定着が打診されよう。