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地元福岡の応援を背に 鈴木聡美は自己記録更新とメダル獲得に挑む

田坂友暁スポーツライター・エディター
(写真:松尾/アフロスポーツ)

 33歳のベテラン鈴木聡美のモチベーションは、地元で開催される世界水泳福岡だった。どうしても出たかった今大会の切符を手にした鈴木が目指すのは、自己ベスト更新だ。

取り戻した大きな伸びのある泳ぎで

29秒台を出して表彰台を狙う

 地元である福岡県での世界水泳開催が決定してからは、それが鈴木の競技を続ける大きなモチベーションになっていた。

「コンディションも良いし、調子も上がってきている。だからこそ何が何でも出たいという気持ちで、最後は力を振り絞りました」

 今年4月の日本選手権の50m平泳ぎのレース後に、鈴木はそう振り返る。鈴木らしい、ひと蹴りするたびに大きく、力強く進んで行く強いキックを生かした泳ぎで30秒44をマーク。実に5年ぶりとなる自己ベスト更新となるこの記録が、夢にまで見た世界水泳福岡に鈴木を導いた。

 2012年のロンドン五輪で3つのメダルを獲得し、鈴木はその名を世界に轟かせた。だが、その後は泳ぎがうまくかみ合わないことが続き、日本代表にも入ったり落ちたりを繰り返す。

 それでも、鈴木は諦めなかった。恩師である神田忠彦コーチの「お前ならやれる」という言葉を信じ、ただひたすらに自分にやれることに取り組み続けてきた。時には日本選手権で予選落ちをすることもあった。それでも心が折れなかったのは、神田コーチの存在と、地元で開催される世界水泳福岡の存在だった。

 もう一度、強い自分を取り戻すために毎日、コツコツと取り組み続けた結果、キックを生かした鈴木本来の泳ぎを取り戻し、今年の日本選手権で過去の自分を超えるベストを更新することができた。

 今大会で狙うのも、当然自己ベストだ。

写真:文化工房
写真:文化工房

「50mで29秒台を狙いたい。そうすれば自ずと決勝進出も、表彰台も見えてくると思います。自己ベストを大きく更新して、爆発的な泳ぎを地元の福岡で見せたいと思います」

世界水泳福岡2023ガイドブックで担当執筆した原稿の抜粋、加筆修正版です。記事の全文、そのほか世界水泳情報は本誌でさらにお楽しみいただけます

スポーツライター・エディター

1980年、兵庫県生まれ。バタフライの選手として全国大会で数々の入賞、優勝を経験し、現役最高成績は日本ランキング4位、世界ランキング47位。この経験を生かして『月刊SWIM』編集部に所属し、多くの特集や連載記事、大会リポート、インタビュー記事、ハウツーDVDの作成などを手がける。2013年からフリーランスのエディター・ライターとして活動を開始。水泳の知識とアスリート経験を生かして、水泳を中心に健康や栄養などの身体をテーマに、幅広く取材・執筆を行っている。

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