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「"Rikako"が世界に戻ってきたことを証明したい」 池江璃花子が再度世界に挑戦する日

田坂友暁スポーツライター・エディター
写真:高須力、小川和行

 東京五輪以後、日本代表から遠ざかっていた池江璃花子が、精神的にも肉体的にもレベルアップして代表返り咲き。その強さを世界に見せつけられるか。

日本選手権で表彰台の頂点に

個人種目で代表入りを果たす

 今年4月の日本選手権で50m、100mの自由形とバタフライの4種目を制し、派遣標準記録を突破して念願の“個人種目”での日本代表入りを果たした池江。その姿は、アスリートとしての強さに満ちあふれていた。

 2019年に白血病を公表し、長期療養に入った池江は、同年12月に退院を発表。その8カ月後にはレースに復帰を果たす。そこから世界も驚くスピードで回復を見せた池江は、東京五輪の代表となった。ただ、個人種目での出場は叶わず、リレーのみの代表入り。夢であった東京五輪に出られたことはうれしかったが、池江の胸の内には『個人種目で代表入りしたい』という思いがあった。

 強い気持ちを持って臨んだ日本選手権。初日の100mバタフライ決勝では、落ち着いた泳ぎで前半を4番手で折り返し、後半に持ち前の大きな泳ぎを生かした伸びを見せる。前を行く3人の選手をラスト25mで抜き去り、57秒68で優勝。個人種目での派遣標準記録を突破したこと、そして1位という順位を確認した池江は、何度も水面を叩きガッツポーズを繰り返した。

「自分は池江璃花子なんだ、誰にも負けるわけがないんだ、という強い気持ちを持って、スタート台の前に立ちました。とにかく焦らないで、今日は自分のレースだけに集中する、と思って臨みました。本当に、とにかく優勝できたことが一番うれしいです」

写真:高須力、小川和行
写真:高須力、小川和行

 続く100m自由形も優勝して迎えたのは、池江がこの大会で本命としていた50mバタフライ。いつもの通りにスタート前にシャドースイムを行い集中力を高める。年明けから取り組んだ下半身の強化が実を結び、スタート時の瞬発力が上がって周囲の選手から遅れることなく浮き上がると、池江らしい大きく伸びやかな泳ぎでグングン突き進んでフィニッシュ。目標としていた個人種目の派遣標準記録を突破。笑顔で観客からの歓声に応える池江の姿がそこにあった。

 大会最終日の50m自由形に登場した池江は、24秒74で快勝。自由形2種目、バタフライ2種目の4冠を達成して日本選手権を締めくくった。

福岡で格好良い姿を見せたい

6年ぶりの世界水泳に臨む

 日本選手権では、レースを重ねる度に、池江に笑顔と自信が戻っていくのが分かった。きっと、池江は1レース泳ぐ度に『レースが楽しい』という気持ちを強くしていったことだろう。そして、レースで勝つともっと楽しいことも感じていたに違いない。

 療養から復帰して1年で東京五輪に出場できたことで、自分はもっとできると思っていた。だが、どれだけ練習してもうまくいかない時があることを知った。池江は休養するまで、記録の伸びが止まったことがない水泳人生のなかで、2022年シーズンに初めて“停滞”を経験した。

 だが、それを乗り越えたからこそ、また強い池江が帰ってきた。6年ぶりの世界水泳で、池江は日本の水泳ファンの人たちに「格好良い姿を見せたい」と意気込む。

写真:高須力、小川和行
写真:高須力、小川和行

「世界大会は国内大会と違って、追いかける立場なのでより燃えてワクワクします。世界水泳福岡では、50mバタフライで結果を出したいと思っています。身体の大きい海外の選手と比べても劣らない大きい泳ぎに注目してほしいですね。RIKAKO COME BACK!! 池江璃花子が世界に戻ってきたことを証明する試合にしたいです」

世界水泳福岡2023ガイドブックで担当執筆した原稿の抜粋、加筆修正版です。記事の全文、そのほか世界水泳情報は本誌でさらにお楽しみいただけます

スポーツライター・エディター

1980年、兵庫県生まれ。バタフライの選手として全国大会で数々の入賞、優勝を経験し、現役最高成績は日本ランキング4位、世界ランキング47位。この経験を生かして『月刊SWIM』編集部に所属し、多くの特集や連載記事、大会リポート、インタビュー記事、ハウツーDVDの作成などを手がける。2013年からフリーランスのエディター・ライターとして活動を開始。水泳の知識とアスリート経験を生かして、水泳を中心に健康や栄養などの身体をテーマに、幅広く取材・執筆を行っている。

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