ウクライナ軍に「神風ドローン」供給するスタートアップ:毎月数千機をウクライナで生産へ
会社の名前の由来はペンタゴンの神風ドローン「one way attack drones」(一方通行に攻撃するドローン)
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。
ウクライナ政府はウクライナ軍が監視・偵察、攻撃で使用するためのドローンを調達するために、政府が運営しているメディアを通じて世界中に寄付を呼びかけている。「drone(ドローン)」と「donation(寄付)」を掛け合わせて「dronation(ドロネーション)」という造語も作っている。
このような世界中の市民からの寄付金を元にウクライナ国内のメーカーだけでなくポーランドやリトアニア、さらに中国メーカーのドローンが大量に調達されている。そのほとんどが中国メーカーDJI製のドローンが占めている。
そんななか、One Way Aerospaceというスタートアップ企業が神風ドローン「AQV 100 Scalpel」を開発した。米国メディアのForbesも紹介していた。ウクライナ軍にドローンを供給しているドローンメーカーは戦争特需である。
「AQV 100 Scalpel」は小型ドローンに爆弾を搭載しただけのシンプルな神風ドローンである。このような小型ドローンに爆弾を搭載しただけの神風ドローンは現在、ウクライナ軍は多く使用している。最前線でも監視用に調達された中国製の小型民生品ドローンに爆弾をテープで巻き付けて、上空で標的のロシア軍の軍事施設を発見したら、すぐにドローンごと突っ込んでいき爆発して攻撃を行っている。
同社ではこの「AQV 100 Scalpel」をウクライナ国内に工場を設置して毎月数千機を生産する。このような小型民生品ドローンに爆弾を巻き付けただけのシンプルな神風ドローンは現場でも簡単に作ることができる。そのため工場といっても、精密機器や高度な戦車を製造しているような工場ではない。たいていは普通の部屋とか倉庫である。既製品の小型民生品ドローンと爆弾が大量に保管されており、それらを従業員が巻き付けているということが多い。ただしロシア軍に居場所を探知されてミサイルなどで攻撃されると、保管されている爆弾が大爆発するので地下や頑丈な鉄筋の建物の中に工場を設置して、神風ドローンは作られている。
「One Way Aerospace」という企業名は、米国の国防総省が神風ドローンのことを「one way attack drones」(一方通行に攻撃するドローン)と呼んでいたことから名付けられている。
神風ドローンは米国防総省が言うように「一方通行」である。標的に突っ込んでいき爆発するので、ドローンが帰ってくることはない。1回攻撃するたびに爆発するので、破壊されてドローンごと無くなってしまう。再利用もほとんど不可能である。同社はウクライナに工場を設置して毎月数千機を生産すると述べているが、神風ドローンは戦場では何機あっても足りない。
▼「AQV 100 Scalpel」