平均年齢は62.9歳…何歳までお金をもらえる仕事をしたいか、その実情をさぐる
何歳までお金もらえる仕事をしたいか
内閣府は2019年1月に「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」(※)の調査報告書を発表した。この報告書を基に、「この年齢までは収入を伴う仕事をしたい」とする年齢の実情を確認する。
次に示すのは何歳まで収入を伴う仕事をしたいか・したかについて、年齢区切りで選択肢を提示して答えてもらった結果を基に、各属性別の平均値を算出したもの。「したいか」では無く「したいか・したか」となっているのは、回答者がすでに職から離れて引退している場合もあるため(年齢階層別に引退したか現役かは問われていない)。例えば男性は66.2歳と出ているので男性全体では66.2歳まで収入を伴う仕事をしたいと考えている、あるいは仕事をしていたことになる。この仕事には正社員、非正規社員の別を問わない。またボランティア活動などのような対価が原則発生しない仕事は該当しない。
全体平均では62.9歳。これが男性では66.2歳、女性では60.1歳となり、6.1歳分の差が開くことになる。男性は世帯の大黒柱となる場合が多いことから、少しでも長く働き続け収入を得たいとの思いが強いのだろう。
年齢階層別では男女とも年が下ほど低く、年が上ほど高い値となる。もっとも70歳以上の場合、該当属性の回答者はすてにその年齢を超えているため、平均値の上では原則的に「収入を伴う仕事をしていた」ということになる。
興味深いのは職業別。専門・技術職や事務職では低め、管理職や農林漁業職では高めの値が出ている。農林漁業職では属性別で唯一70歳を超える値。ちなみに公開値で詳細を確認すると(グラフ化は略)「91歳以上まで働きたい」との回答率は全体では0.9%だが、農林漁業職では3.2%との値が出ている。
なぜその年齢まで働きたいのか、その理由
それではなぜその年齢まで働きたい、働いていたのか、その理由について、例示した選択肢の中からもっとも当てはまるもの1つを選んでもらった結果が次以降のグラフ。選択肢の並びは質問票に書かれている順番をそのまま用いている。
もっとも多くの人が回答した理由は「経済的にゆとりある生活を送りたい」で28.9%、次いで「働き続けないと生活費が足りない」で24.9%。余裕を持ちたいのか根本的に足りないのかの違いだが、収入第一との観点では同義と見てよいだろう。続いて「仕事をするのが好き」の16.9%、そして「社会との繋がりが欲しい」が13.4%で続く。
男女別では男性は生活の苦しさへの意見が女性より高い値で、女性はゆとりを求めた上での仕事との意見が男性より高い値。意外なのは社会との繋がりの観点で男性よりも女性の方が高い点。
これを年齢階層別に区分したのが次のグラフ。
男性では60代までは「経済的にゆとりある生活を送りたい」の値はさほど変わらず、70歳以上でやや減少する。他方「働き続けないと生活費が足りない」は40~50代で多く、60代以降は減る。老後の生活費に関し、中年層が大いに憂慮している実情がうかがえる。また「仕事をするのが好き」との意見は50代以降で増加する。中年以降になると、仕事に対する見方が変化していくのだろうか。
女性では「働き続けないと生活費が足りない」は40代で最大となるが、それ以降は大きく減る。他方「経済的にゆとりある生活を送りたい」は40代と70歳以外はおおよそ高めで、順位もトップ(70歳以上で値そのものが低めなのは、「その他」などの回答が多いため)。また「社会との繋がりが欲しい」との意見は40代でもっとも多く2割を超えている。現状の仕事の中で他人との繋がりに幸せを覚え、それをずっと継続したいと考えているのかもしれない。
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※老後の生活設計と公的年金に関する世論調査
2018年11月1日から18日にかけて日本国内に居住する18歳以上の日本国籍を持つ男女から層化2段無作為抽出法によって選ばれた5000人に対し、調査員による個別面接聴取法によって実施されたもので、有効回答数は2919人。男女比は1369対1550、年齢階層比は18~19歳39人・20代192人・30代340人・40代517人・50代475人・60代553人・70歳以上803人。
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