水道光熱費や食品の値上げ続く年度末 コロナ禍の家計にどう影響?
値上げが話題になることが多い年度末。今年は例年以上にシビアな値上げニュースが続いています。ステイホームで在宅時間が増えているいま、光熱費や食料品の値上げはより深刻に感じられる方も多いのではないでしょうか。
電気、ガス、水道、ガソリンは、製造や物流のコスト増にもつながりますので、単に家庭の光熱費が上がるだけでなく、様々な商品やサービスの価格に反映されます。それに加え小麦粉や食用油といった主要な食品の原材料の値上がりもあり、商品価格の値上げや外食産業での値上げのニュースは続々と発表されています。それぞれ具体的にみていきましょう。
水道光熱費
昨年末から1月中旬にかけ、日本卸電力取引所(JEPX)の電力価格が暴騰。この影響で市場連動型のプランを提供していた新電力では電気料金が超高騰するというニュースが世間を騒がせましたが、影響を受けるのは新電力ユーザーだけではありません。
JPEXの価格高騰の原因は主に、寒波による電力需要の急増と、火力発電の燃料に使う液化天然ガス(LNG)の価格の高騰です。燃料のLNGの価格が高騰するということは当然大手都市ガス、大手電力会社にも影響はあり、燃料費調整制度に基づいて全社が4月の料金を引き上げる見通しになっています。値上がり幅はまちまちですが、LNGへの依存度が高い会社ほど料金が上がると考えられます。
水道料金については自治体ごとに料金や対応が変わりますが、人口減や水道管などの施設の老朽化で財政がひっ迫、値上げに踏み切らざるをえない自治体もみられます。埼玉県川口市では今年1月1日に水道料金を改定し、約25%も値上げしました。昨年から新型コロナウイルスの感染拡大を受け、生活支援のため水道料金を減免する動きも見られましたが、これが水道事業の収益悪化に影響している自治体もあります。
また水道光熱費ではありませんが、ガソリンの値上がりも顕著です。レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格はこの一年近く右肩上がりで、比較的安値であった昨年の5月頃の価格と比較すると20円以上あがっています。新型コロナウイルスのワクチンの供給が始まり、世界経済の回復への期待感から原油価格が上昇、これを受けた産油国の減産で供給が減っていることも値上がりの一因です。
食料品
食料品の値上げニュースも続々とみられますが、特徴的なのは多くの加工食品の原材料となるようなものが値上がりしていることです。
食用油
昭和産業は、3月1日納品分から家庭用食用油8品目を1キログラム当たり30円以上値上げすると発表。6月にもさらに30円以上の引き上げを予定しています。このほか日清オイリオグループやJ-オイルミルズなども値上げを発表しました。大豆や菜種、パーム油など原料の高騰が原因です。
砂糖
三井製糖は、3月1日出荷価格より1キログラムあたり5円引き上げると発表。新型コロナによる生産や輸出の停滞、原産国の天候不順などによる粗糖の国際相場上昇が原因です。
小麦粉
3月10日に輸入小麦の政府売渡価格5.5%引き上げを発表。中国の飼料用小麦輸入増加、ロシアの小麦輸出税の引き上げなど、国際価格の上昇が原因です。昨年10月1日には輸入小麦の政府売渡価格が引き下げられたことに伴い値下がり傾向がみられましたが、今後価格の上昇が予想されます。
卵
東京の3月鶏卵価格相場は1月と比べ1キログラムあたり73円上昇。鳥インフルエンザの影響で多くの鶏が殺処分され全国的に鶏卵が不足しているのが原因です。
家計への影響は?
もう一つ無視できないのは、4月からの消費税総額表示の義務化。これを機にキリの良い価格に改定する動きがあり、この機会に値上げされる商品も少なくありません。このほかにも、日用品や食料品などで価格は据え置きのまま容量を減らし事実上値上げする「シュリンクフレーション」は公式に発表のないまま行われることも増えています。
そうなってくると家計の影響は甚大、どうやって節約していけばよいのだろう…と絶望的な気持ちになりますが、値上げのニュースばかりではありません。
例えば通信費。大手キャリアはオンライン専用プランではありますが、大幅に安い料金プランの提供を始めています。これに追随し、格安SIMを提供するMVNOも続々と値下げを発表。大容量のプランでも3千円程度、1~3GB程度の低容量帯においては月額料金千円程度で利用できるのも当たり前になっています。
値上がりにより光熱費や食費の上昇は避けようがありませんが、そのほかの費目で無駄な出費がないか、もっと安くできる方法はないかを模索し、最終的に家計の帳尻が合うよう工夫していきましょう。