本当は怖い「不安神経症」が生み出すさまざまな不安と対処法について解説
こんにちは、精神科医しょうです。
不安神経症は全般性不安障害とも呼ばれる疾患であり、些細なことが心配でたまらず、どのような状況下においても不安が持続するのが特徴です。
たとえば「家族が重い病気にかかっているのではないか」「子どもが事故に遭うのではないか」「夫が重大なミスをするのではないか」など心配のタネはさまざまです。
自分が心配しても仕方がないことだと分かっていても、心配を拭い去ることができず、四六時中、不安や心配で心休まることがありません。常に漠然とした不安感に苛まれ、家事や仕事が手に付かなくなることもあります。
症状がひどくなると動悸やめまい、不眠などの身体症状も表れるのですが、たいしたことないと放置しているとうつ病などの大きな病につながるリスクも高くなります。
表れる症状がそれほど強くなかったとしても、本人が感じている苦痛は大きく、心配し過ぎて疲れやすくなったり、イライラしたり、ものごとに集中することができなくなったりするため、生活の質を低下させてしまいます。
今回は、「不安神経症」が生み出すさまざまな「不安」と対処法について取り上げたいと思います。
他人にコントロールされる不安と対処法とは?
自分のことはある程度コントロールできても、他人のことはコントロールできないと考えるものでしょう。
ところが、なかには他人をコントロールすることで自分の力を誇示したり、喜びを感じたりする人がいます。
このような人と関わってしまうと、エネルギーが吸い取られ、相手の言葉に翻弄され、自信喪失や不安を抱く原因になりかねません。
過保護・過干渉な親や職場のいわゆるお局さん、面倒見の良い上司などといった人のなかにも、コントロールしようとする人はいます。
「あなたのためを思って言っている」と罪悪感を抱かせるような言葉でコントロールをしてくる場合もあるため、巻き込まれそうになったら自分と他人をしっかり区別して、どちら側の課題なのかを見極めるようにしましょう。
日本人は他の民族に比べて「人は人、自分は自分」と線引きすることが苦手です。
だからこそ、他人の意のままにならないよう、強く意識し「それはあなたの問題であって、私の問題ではない」と区別できるようになることが必要だと言えます。
この意識的な区別を付けられるようになると、人から何を言われても必要以上の不安や心配を抱くことはなくなるのではないでしょうか。
ポイントとしては以下の通りです。
・エネルギーを吸い取る人は身近にいるかもしれない
・エネルギーを吸い取られそうになったら、自分と他人を区別する
・問題と課題の所在を明らかにする
原因が分からない不安に陥りやすい人と対処法とは?
直接的な不安の原因は何もないはずなのに、不安になる人がいます。
「不安がないことが不安」とも言えますが、健常者からしたら理解に苦しむかもしれませんね。
いろいろな理由があるようですが、いくつかあげてみたいと思います。
・完璧主義な人
完璧主義な人は、現状に満足することがありません。
世の中に完璧な状態、完璧な人・物がないにもかかわらず、常に自分が思う完璧を見つけては、それを目指そうとします。
しかし、その過程で不安や劣等感を呼び起こし、不安神経症を発症してしまうことも少なくありません。
完璧を求める志は評価されるものでもありますが、なにごともほどほどにしておく方が、病を予防するためには良いでしょう。
・自意識過剰な人
不安になりやすい人は、自分に対する関心が高い傾向があります。
つまり、自分のことばかり考えてしまい、自分の内面にばかり注目してしまうこともあるようです。
不安から逃れるために「自分のどこが悪いのか」など自己反省を繰り返し、自己肯定感を著しく低下させてしまうこともあります。
対処法としては、自分の内面ばかりを責めたり注視したりするのではなく、今ある人間関係や仕事、恋愛に集中し、他人から喜んでもらえる関係性を築き、身を投じることが大切です。
何不自由なく生活できていることが不安だと感じているのであれば、ボランティア活動をしてみるのも良いかもしれません。
・慢性的な不安を持ち続けている人
不安に慣れ過ぎて、不安がなくなるとどうしたら良いのかわからなくなる人がいます。
長い間、不安な状態を過ごしてきた人は、今は安全と分かっていても安心できずソワソワとしてしまうことがあるようです。
対処法としては、本人が不安や恐れを抱くことをわざと積極的に行ったり、そういう場所に行ったりすることで症状を緩和させるといった治療法がとられることがありますが、必ず専門医の指導の下で行うようにしましょう。
まとめ
自分の気質や性格、思考だけではなく、他人との関係性や社会情勢など、私たちの身の回りは「不安」を抱える要素が溢れています。
しかし、今回紹介した区別する対処法を普段から意識できるようになると、不安神経症だけではなく、他の病を予防する効果が期待できるので、ぜひ取り入れてみましょう。
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