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渡辺王将防衛か、永瀬王座追いつくか――第70期王将戦七番勝負第6局展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
渡辺明王将は挑戦者の勢いを止めることができるか(筆者撮影)

 渡辺明王将(36)に永瀬拓矢王座(28)が挑戦する第70期王将戦七番勝負(スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社主催)は第1局から渡辺王将が3連勝のあと永瀬王座が2連勝し追い上げている。

 3月13、14日に島根県大田市「さんべ荘」で行われる第6局の勝敗と展開を、データを基に予想してみた。

<王将戦七番勝負日程とこれまでの結果>

第1局 1月10、11日 静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」

渡辺王将(先)勝ち

第2局 1月23、24日 大阪府高槻市「山水館」

渡辺王将(後)勝ち

第3局 1月30、31日 栃木県大田原市「ホテル花月」

渡辺王将(先)勝ち

第4局 2月13、14日 東京都立川市「SORANO HOTEL」

永瀬王座(先)勝ち

第5局 3月1、2日

佐賀県三養基郡「大幸園」

永瀬王座(後)勝ち

第6局 3月13、14日 島根県大田市「さんべ荘」

第7局 3月20、21日 新潟県佐渡市「佐渡グリーンホテルきらく」

永瀬王座の好調ぶりが目立つ

<渡辺王将の最近10局>

1月19日 竜王戦ランキング戦2組

対郷田真隆九段 ○

1月23、24日 王将戦七番勝負第2局

対永瀬王座 ○

1月30、31日 王将戦七番勝負第3局

対永瀬王座 ○

2月6日 棋王戦五番勝負第1局

対糸谷哲郎八段 ●

2月11日 朝日杯将棋オープン戦準決勝

対藤井聡太二冠 ●

2月13、14日 王将戦七番勝負第4局

対永瀬王座 ●

2月20日 棋王戦五番勝負第2局

対糸谷八段 ○

3月1、2日 王将戦七番勝負第5局

対永瀬王座 ●

3月7日 棋王戦五番勝負第3局

対糸谷八段 ○

3月10日ヒューリック杯棋聖戦本戦

対斎藤慎太郎八段 ○

<永瀬王座の最近10局>

1月16日 朝日杯将棋オープン戦

対渡辺王将 ●

1月23、24日 王将戦七番勝負第2局

対渡辺王将 ●

1月30、31日 王将戦七番勝負第3局

対渡辺王将 ●

2月4日 順位戦B級1組

対行方尚史九段 ○

2月9日 竜王戦ランキング戦1組

対羽生善治九段 ○

2月13、14日 王将戦七番勝負第4局

対渡辺王将 ○

2月24日 お~いお茶杯王位戦リーグ

対池永天志四段 ○

3月1、2日 王将戦七番勝負第5局

対渡辺王将 ○

3月5日 ヒューリック杯棋聖戦本戦

対屋敷伸之九段 ○

3月11日 順位戦B級1組

対近藤誠也七段 ○

 棋界の第一人者で安定感に定評のある渡辺王将(名人・棋王)は棋王戦五番勝負も並行してのハードスケジュールの中でも、直近10局6勝4敗とまずまずの成績。

 一方、永瀬王座は直近10局7勝3敗で現在7連勝と絶好調だ。

 3月11日には順位戦A級昇級を決めたばかりで、本シリーズも3連敗でカド番に追い込まれてから2連勝と流れが良く、勢いからは挑戦者やや有利と見る。

戦型は角換わりが本命

 直接対決は19局あって渡辺王将が14勝5敗(1千日手)と大きく勝ち越しており、相性の面では渡辺王将の優位は揺るがない。

 ただしこのカードは先手番の13勝6敗と勝ち星が偏っており、第6局で先手となる永瀬王座にとっては好材料。

 戦型は今回のシリーズでも多く登場した角換わりが本命で、対抗は相掛かりと予想する。どちらかが角換わりを拒否すれば、雁木や矢倉模様の力戦に進む可能性もあるだろう。

 渡辺王将にとってはここで挑戦者の勢いを止めることができるかどうか、真価の問われる第6局になりそうだ。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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