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NY金17日:ドル高で急反落、年初来安値を更新

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比15.00ドル安

始値 1,082.40ドル

高値 1,085.10ドル

安値 1,064.40ドル

終値 1,068.60ドル

為替相場がドル高方向に振れたことが嫌気され、急反落した。7月24日の1,072.30ドルを下回り、年初来安値を更新している。

アジアタイムは1,085ドル水準での横ばいになっていたが、欧州タイム入り後に1,080ドル、ニューヨークタイム入り後に1,060ドル台へと断続的に値位置を切り下げている。特に何か大きな材料が浮上している訳ではないが、為替市場でドル高トレンドが維持されていることが確認される中、売り安心感の強い地合になっている。年初来安値1,072.30ドルを割り込んだ所でストップロスを巻き込むような動きもみられ、安値は1,064.40ドルに達している。

金相場は、なおダウントレンドを維持していることが確認されている。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策正常化プロセスに対する警戒感が強い一方、フランスの同時テロを受けて欧州中央銀行(ECB)が12月にも追加緩和に踏み切るとの見方が一段と強まる中、ドル買い・ユーロ売り優勢の地合になっている。ドルが上値切り上げ傾向を維持する中、代替通貨・安全通貨としての金相場だけが下げ渋ることは難しく、素直に水準を切り下げている。

価格低下で現物需要の拡大報告も聞かれるが、上場投資信託(ETF)市場では急激な売却傾向にブレーキが掛かるのに精一杯であり、なお需要サイドの要因で安値是正を進めるような動きは見られない。アジアタイムの反発力が問われることになるが、このままユーロ/ドルが現在の1ユーロ=1.064ドル水準からパリティ(等価)を目指す流れが維持できれば、金価格は1,000ドル割れ目前まで値位置を切り下げることが正当化される。

年初来安値更新でターゲットの設定が困難になっているが、1,050ドル、1,000ドルと節目となる価格水準を打診する展開が維持されよう。目先は18日に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(10月27~28日開催分)が大きなイベントリスクになるが、ここで過度に保守的な金利見通しが提示されるようなことがなければ、ドル高・米金利上昇と連動して下値切り下げを打診する展開が維持される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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