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宝塚記念、前日→当日の単勝オッズの推移/道悪は避けられす ドウデュースの適性は?

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2023年有馬記念を制し、宝塚記念で1番人気のドウデュース(撮影/青山一俊)

今年は京都の宝塚記念 馬場は道悪予想

 23日、京都競馬場で第65回宝塚記念(GI)が行われる。今年は阪神競馬場のリニューアル工事のため、京都競馬場で行われる。気になるのは10週連続ロングラン開催による馬場の酷使。さらに、23日当日の京都競馬場の天気だが昼は小康状態であるが、雨雲レーダーの予想では午後1時から3時くらいまでは雨雲が張り付いている。これでは、レースが行われる時間まで馬場が回復は難しく悪化が懸念されると察する。したがって、宝塚記念は重~不良馬場と予想する。

京都の極悪馬場を制したキセキの戦法

 馬場の悪い京都のGIといえば、筆者が思い出すのはメジロマックイーンが勝った1990年の菊花賞とキセキが勝った2017年菊花賞だ。

 メジロマックイーンは条件馬ながら長距離実績がありスタミナに不安が全くなく、人気馬をさしおいて先行抜け出して完勝した。その後のGIでの成績の安定ぶりは周知のとおり。

 キセキは自在性のある脚質だが、この菊花賞は折り合い重視の後方待機策。2週目3コーナー過ぎの下り坂を上手に利用し、直線では大外に持ち出して力強く抜け出した。それにしても、この菊花賞は降雨がハンパなく、上がり3ハロンが最速のキセキですら39.6という数字が示すとおり、記憶にも記録にも残る極悪競馬であった。また、このレースでは3着のポポカテペトルの道悪でもまったくバテることのない巧者ぶりが光っていた。


■2017年菊花賞(GI) 優勝馬 キセキ/JRA公式

前日→当日11時の単勝オッズの推移 1番人気はドウデュース

 前日から当日にかけてのJRA発表の単勝オッズをおさらいする。(オッズはJRA発表の前日オッズ→当日11時頃のオッズ)

 1番人気は不動、昨年のグランプリホースであるドウデュースで2.2倍→2.4倍。2番人気は昨年の春の天皇賞馬・ジャスティンパレスで4.2倍→4.4倍。3番人気は馬場悪化で期待が高まるブローザホーンで8.5倍→7.6倍。ここまでが単勝1桁台。

 単勝10倍~20倍台は7頭。4番人気は大阪杯優勝馬のベラジオオペラで12.4倍→10.6倍。5番人気、6番人気は道悪でものめらないというローシャムパーク13.9倍→11.0倍、同コースの京都記念で優勝実績のあるプラダリアが13.0倍→13.0倍と揉み合っている。7番人気のソールオリエンスが18.1倍→16.3倍、8番人気のシュトルーヴェが19.8倍→19.1倍、9番人気のディープボンドが19.9倍→20.2倍、10番人気のルージュエヴァイユが31.3倍→28.9倍である。

 残る3頭の単勝オッズは大きく離れている。11番人気のカラテが106.7倍→92.5倍。ブービー人気を争う2頭はヤマニンサンパが123.2倍→108.2倍、ヒートオンビートが112.5倍→109.1倍となっている。


悩ましいドウデュースの扱い

 さて。1番人気のドウデュースをどう扱うかが悩ましい。調整過程はいたって順調で、これが良馬場なら文句なしの本命だった。しかし、今年の宝塚記念は道悪予想だ。しかも、10週にわたる連続開催をこなした後であり、午後は8レースと9レースに芝のレースが組まれている。この時間帯の激しい降雨が予想されている点も気になる。

 ドウデュースという馬のポテンシャルの高さは周知のとおりだ。しかし、どこか素直過ぎるというか、タフに勝ち続ける馬たちにみられるような臨機応変さが感じられない点が気になる。臨機応変な名馬といえばディープインパクトを思い出す。2006年の宝塚記念、このときも京都開催で馬場は良ではなくやや重だった。ディープインパクトといえば、飛ぶように走ると評されたことが有名だが、その走りは一完歩の大きなストライド走法だった。しかし、宝塚記念は若干完歩を詰めたピッチの速い走りを見せていた。ドウデュースはもともとピッチ走法なので道悪への対応は可能かと思われるが、なんというか、いい時とダメな時の差が大きいのが気になるのだ。フランスではあるが、ドウデュースは道悪馬場で成績を出せなかった。こういった"トラウマ"を結構気にしてしまうのではないか、と懸念している。あと、京都が初コースで下り坂でどう振舞うのかが気になる。まぁ、これについては鞍上が見事なエスコートを見せてくれるとは思うが。

■2006年宝塚記念(GI) 優勝馬 ディープインパクト/JRA公式


■2023年有馬記念(GI) 優勝馬 ドウデュース/JRA公式


筆者は京都好相性の3頭をピックアップ

 展開はこれといった逃げ馬はいない。自在性がありこのところ先行策をとっているディープボンド、べラジオオペラあたりが先手をとっても不思議はない。しかし、何が何でもレースを引っ張りそうな馬がいないので、3コーナーの坂の下りから直線で外に出して上手く立ち振る舞えそうな馬を狙いたいと思う。

 まず、京都コース重賞2勝のプラダリア。京都の外回りコースで重賞2勝をあげているが、京都記念では坂で上手に加速してべラジオオペラに先着している。但し、調教の動きがレースに直結するタイプで、今週の追い切りでラストがフワッとしてしまった点は気になる。

 ブローザホーンは3番人気に推されているが、道悪に不安がない点が高く評価されているとみた。ここ数戦は折り合い重視で後ろからの競馬だが、もともと先行していたように自在性があるのもいい。今回はメンコを外して挑むとのこと。人気でも狙いたい。

 ディープボンドは幸騎手が騎乗して2戦目の実戦。京都コースは馬自身が好きとのことで、この馬らしい渋太さがみられれば悲願のGI制覇の場面も!?

■2024年宝塚記念 調教動画 /JRA公式

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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