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関東一は東海大相模、京都国際は智弁学園と同地区対戦!神がかりの大社は神村学園に挑む!準々決勝展望

森本栄浩毎日放送アナウンサー
健大高崎を破った智弁学園は、3年ぶりの8強。次戦は京都国際と当たる(筆者撮影)

 夏の甲子園は17日に3回戦が終了し、8強が出揃った。近畿が3校、関東・東京が2校、東北、中国、九州がそれぞれ1校となった。2回戦からの登場組が比較的、順当な顔ぶれだったのに対し、1回戦からの登場組は波乱が多く、激戦を経て消耗の激しいチームも少なくない。その意味では、16日に3回戦を終えたチームが優勝に近いと言える。

大型チームの東海大相模に、継投策の関東一

 関東一(東東京)-東海大相模(神奈川)

 3回戦屈指の好カードだった広陵(広島)戦を8-1で快勝した東海大相模は、投打ともスケールが大きくスキがない。エース左腕・藤田琉生(3年)は、198センチの長身から角度のある140キロ台中盤の直球に加え、ナックルカーブなどの変化球でも勝負できる。控え投手陣も申し分なく、初戦で好救援した右腕・福田拓翔(2年)の先発起用もありうる。攻撃面では1番の才田和空(3年)の出塁率が高く、中軸の中村龍之介(3年)、金本貫汰(2年)らが勝負強い。関東一は、過去2試合で救援待機してきたエース・坂井遼(3年)の投入機がポイント。左腕・畠中鉄心(3年)ら、坂井の前に投げる投手ができるだけイニングを稼ぎ、坂井の負担を減らしたい。不動の4番・高橋徹平(3年=主将)に本来の当たりが戻れば、得点力も上がるだろう。両校は9年前の夏の準決勝で当たり、相模が10-3で勝っている。

エース万全の青森山田に挑む3試合連続2ケタ安打の滋賀学園

 青森山田(青森)-滋賀学園(滋賀)

 初戦(2回戦)の長野日大を1失点で完投したエース・関浩一郎(3年)を温存し、石橋(栃木)との3回戦で、控え投手による完封リレーを見せた青森山田は、投打ともセンバツより力を伸ばしている。休養十分の関は、制球も安定し、要所で三振を奪えるのが強み。強打の4番・原田純希(3年)にも待望の甲子園初アーチが出て、打線も好調だ。

滋賀学園の高橋侠は、ベンチ入りで唯一の地元出身選手。開幕試合となった有田工(佐賀)との1回戦で好救援し、夏の大会初勝利に導いた。準々決勝での力投に期待だ(筆者撮影)
滋賀学園の高橋侠は、ベンチ入りで唯一の地元出身選手。開幕試合となった有田工(佐賀)との1回戦で好救援し、夏の大会初勝利に導いた。準々決勝での力投に期待だ(筆者撮影)

 対する滋賀学園は、ここまでの3試合でいずれも2ケタ安打し、勢いがある。4番・岡田幸大(3年)が、霞ケ浦(茨城)との3回戦で4安打2打点と活躍するなど、巧みな犠打を絡めて、下位打線までつながりがいい。エース・脇本耀士(3年)、左腕・高橋侠聖(3年)が低めに球を集め、好遊撃手の岩井天史(3年)らが堅守で支えたい。

左腕二枚が万全の京都国際に、佐坂が好調の智弁学園

 京都国際(京都)-智弁学園(奈良)

 投手力で京都国際が上回る。西日本短大付(福岡)との3回戦で14奪三振完封のエース・中崎琉生(3年)に加え、2回戦の新潟産大付で3安打完封の西村一毅(2年)という強力左腕二枚は、今大会トップの投手力と言っていい。他校との違いは、いずれも継投ではなく完投させている点で、ローテーション的には西村の先発か。攻撃では、4番・藤本陽毅(3年=主将)までの上位打者が当たっている。

智弁のエース・田近はここまで3試合、全てで先発。健大高崎(群馬)の春夏連覇を阻み、小松大谷戦でも7回で12三振を奪った。「ピンチで三振を取るのが自分のスタイル」と、要所を締めた(筆者撮影)
智弁のエース・田近はここまで3試合、全てで先発。健大高崎(群馬)の春夏連覇を阻み、小松大谷戦でも7回で12三振を奪った。「ピンチで三振を取るのが自分のスタイル」と、要所を締めた(筆者撮影)

 智弁学園は、1番を打つ佐坂悠登(3年)の打席がカギ。当たりが出始めた4番の中道優斗(2年)ら中軸の前に出塁すれば一気に活気づくし、好機でも勝負強い。エース左腕・田近楓雅(3年)は、小松大谷(石川)との3回戦で7回、129球を投げた。終盤にやや消耗が見られ、控え投手にも不安があることから、智弁としては、序盤から攻撃陣の奮起が欠かせない。3年前の夏、両校は準決勝で当たって、智弁が3-1で勝っている。

2試合連続タイブレーク勝ちの大社が、神村学園に挑む

 大社(島根)-神村学園(鹿児島)

 公立で唯一、勝ち残った大社が、2年連続の4強入りを狙う神村学園に挑む。大社のエース左腕・馬庭優太(3年)は3試合連続完投で、うち2試合は延長タイブレークだった。早稲田実(西東京)との3回戦では11回、149球の熱投で、自らサヨナラ打も放った。馬庭の状態は気がかりなところで、ある程度の失点は覚悟せねばなるまい。終盤まで粘って、もつれる展開に持ち込みたい。一方の神村は、エース左腕・今村拓未(3年)を温存して3回戦を突破できたのが大きい。打線は、4番の正林輝大(3年)にようやく初安打が出て、小田大介監督(41)を安心させた。ここから本領を発揮しそうだ。それにしても大社の戦いぶりは、まさに神がかり的。早実との激闘は、高校野球草創期から歴史を紡いできた両校にしかできない。甲子園100年の大会で、高校野球の神様がめぐり合わせた両校(大社32年ぶり、早実9年ぶり出場)が演じた感動的な試合に、ただただ感謝。これが甲子園の高校野球だ!

準々決勝は3回戦勝者をシャッフルして!

 ところで、準々決勝の抽選は、3回戦の試合終了後すぐに行われる。3回戦初日の勝者4校が、準々の第1、第2試合に。2日目の勝者は第3、第4試合に組み込まれるが、これは1回戦から登場のチームへの負担をできるだけ軽減するためにとられた措置。しかし実際には、勝ち上がるほど、消耗の差が鮮明になる。つまり大会が終盤になるにつれ、2回戦からの登場組が断然、有利になるので、3回戦後の休養日を確実に担保するという条件で、準々決勝は完全シャッフルで抽選してもらいたい。ちなみに滋賀学園は1回戦からの登場だったので、今大会は相模、関東一、青森山田の3校が、2回戦からの登場組となる。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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