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手作りおもちゃや台所育児…ありがちな「知育の誤解」に注意

ねんねママ(和氣春花)乳幼児育児アドバイザー

近年、SNSなどでよく聞かれる「知育」という言葉。

「子どもを賢く育てたい」という親が取り組んでいるイメージを持たれている方も多いかもしれませんね。

Google AIによると

知育とは、考察力や判断力、記憶力、問題解決能力などの知能を養う教育です。

(中略)知育の目的は、自ら考え行動する力を育てることで、時代の変化に対応できる人材を育てることです。特に幼児期は脳の成長期でもあるため、積極的に知育を行うことで効果的な能力アップが望めます。

知育には、知育玩具、知育本・パズル、知育アプリ、知育教室など、さまざまな方法があります。

と解説されています。

SNSやインターネットを見ていると「知育のために知育棚を作ってます」「絵本をこんな風に並べています」など、さまざまな素敵な投稿がありますよね。

ただ、誤解されがちなのが、その行動そのものが知育だと思ってしまうことなのです。そこは実は知育の本質ではないかもしれません。

知育でよくある誤解①綺麗な棚に木製のおもちゃを並べるのが知育

部屋を綺麗に片付けて、”知育専用の棚”を作って、木でできたおもちゃやモンテの教具を並べて…というSNSの投稿を見たことはありますか?

それを見ると「うちは狭いから」「片付いていないから」、だから知育はできない…と思ってしまう方もいるかもしれませんがそれは誤解です。

「棚づくりをすること」が知育ではないのです。

そう言われると、「それはそうだ!」と思われるかもしれませんが、実は結構多くの方がついハマってしまう落とし穴。

棚を作ることが目的になってしまって、子どもにあったものを揃えること、子どもの興味を観察すること、など本質が疎かになってしまうケースもあります。

子どもの力を伸ばすためにおさえておきたいポイントは、物の住所がある程度定められていることです。

部屋が散らかっていても、これはここにしまうよね〜ということが決まっていれば、子どもは使いたい時に使いたい物を取り出してきて遊ぶことができます。

そして、いつでも使える子どもの作業場所があると理想的です。

気合いを入れて整理整頓できなくても、多少散らかっていても、子どもが自分の作業スペースとして使える場所があれば、そこに物を運んで遊ぶことができます。

「片付けられないから知育は無理!」と思っている方にも、まずは無理なくほんの少しの子ども用作業スペースを用意するところから取り組んでいただければと思います。

知育でよくある誤解②手作りおもちゃで遊ばせるのが知育

手作りおもちゃのショート動画、とても面白いですよね。私もついつい観てしまいます。

そういったおもちゃを子どものために用意できることは、大変素晴らしいことで、愛情にあふれた行動だと思います。

しかし、よくある誤解なのが、手作りおもちゃを作る=知育だと思ってしまうことです。

何かを作ってあげることはもちろん愛情表現ではあるのですが、知育という観点で見ると、本人の興味関心と合致していないと興味を持ってもらない=知育のための力を発揮しない、ということも考えられます。

親がSNSの動画で見たおもちゃを、頑張って作るのが知育に繋がるのではなく、まずは”子ども自身が何をやってるのか?” "どんなことに興味を持っているのか"を観察し、その発達欲求に合わせたものを提供していくのが大切です。

おもちゃを手作りするなら、親の「これ作れそう!やってみよう!」よりも、お子さん自身が「いま興味があるもの」を知り、それに合わせたものを作るようにしましょう。

知育でよくある誤解③親と一緒に料理を完成させるのが知育

台所は刺激の宝庫。子どもと台所に立つことで、教えてあげられることがたくさんあります。

昨今では「台所育児」などという言葉も聞かれるようになり、知育のために一緒に料理をさせるご家庭も増えてきているように感じます。

ここでよくある誤解が、準備から完成まできっちり参加させなくてはいけないと思ってしまうことです。

相手は子どもなので、途中離脱は当たり前です。むしろ最初から部分参加を狙うくらいのつもりでいると良いかと思います。

本人が興味を持ったことや手伝えそうな部分だけ、「キノコをほぐしてね」「お豆腐を切ってね」など参加させてあげるのがおすすめです。

「次はこれよ!最後までやりなさい!」「教えてあげるわよ〜!」と親の教育スイッチが入ってしまうと、つまらなくなってしまったり義務感でやる気が削がれてしまいかねません。

途中離脱があたりまえ!という前提で、ほんのちょっと興味を持った物を触らせてあげることから始めてみてください。

知育はハードルが高そう…と感じている方も、すでに取り組んでいるけれども目的がわからなくなってきてしまった…という方も、よかったらひと呼吸ついてみてください。

「今うちの子は何がしたいのかな?」「何に興味持っているのかな?」というところを観察してみるところが、いつだってスタートです。

子どもをじっくり観察していると、これがなんとも面白いのです。

大人では気づかないようなところに興味を持っていたりして、自分がいかにせかせか生きているかを感じさせられることもあります。

忙しい毎日ですが、たまには子どもの視点でゆっくり生きてみませんか?

▼YouTube動画でも詳しくお話しています。

乳幼児育児アドバイザー

乳幼児育児アドバイザー。小児スリープコンサルタント。0-3歳モンテッソーリ教師。株式会社mominess代表。YouTube「ねんねママのもっとラクする子育て情報局」やInstagramなどで乳幼児の育児に関する発信を続け、2024年現在、SNSの総フォロワーは19万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』『〇✕ですぐわかる!ねんねのお悩み消えちゃう本』がある。

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