赤ちゃんの「うつ伏せ寝」はなぜ危険?大人ができる対処法とは【専門家解説】
皆さんは「赤ちゃんのうつ伏せ寝」に対してどんなイメージを持っていますか?
一昔前は、「頭の方を良くするためにうつ伏せ寝をさせた方が良い」と言われていた時代もありました。
しかし、現在では乳幼児突然死症候群(SIDS)予防のために1歳までは仰向けに寝かせることが推奨されています。
厚生労働省をはじめとした専門団体などの働きかけによって、世の中に浸透してきたように、うつ伏せ寝をすると窒息やSIDSのリスク因子となり得ます。
しかし私が寝かしつけのご相談を受ける中で、
「うちの子、どうしてもうつ伏せになってしまって、何度仰向けに戻してもすぐうつ伏せになってしまうんです」
「うつ伏せじゃないと寝てくれないです」
という声を聞くことがあります。
そういった方々に向けて、お伝えしている対処法を解説します。
〇〇できればうつ伏せ寝でもOK
うつ伏せ寝が好きな子は実は多いもの。そして、中にはうつ伏せ寝をしている子どもが心配で、見守るために不眠症になってしまう方もいます。
そういった方々に、まずお伝えするのがアメリカ小児科学会が出しているガイドラインについて。
「寝返りと寝返りがえりが両方スムーズにできて、安全な睡眠環境が整えられていれば、好きな寝姿勢を取ることができます。」
自由に体をひっくり返すことができるようになれば、好きな寝姿勢を取ることができるため、無理に仰向けに戻さなくても良いとされています。
寝返り返りできないときはどうする?
しかし問題は、寝返り返りができないときです。まずは、寝返り返りができるようになるように練習をさせてあげましょう。
日中の遊びの中でも練習をすることができますので、取り入れてみてください。
理学療法士さんに「寝返り返り」の練習方法について解説していただいたYouTubeの動画はこちらです。
そして、習得できるまでの間は仰向けで寝かせてあげることが推奨となります。
どうしてもひっくり返ってしまう場合は、ひっくり返らないように寝付くまで手で少しサポートしてあげると良いでしょう。
一方で、最初に挙げた声のようにどうしてもうつ伏せになってしまうお子さんもいます。そういった場合は、寝入りのときだけは(大人が見ている状態で)うつ伏せにしてあげるという方法もあります。
ただし必ず見守ることと、安全な睡眠環境を整えてください。そして、寝入ったら必ず仰向けに戻しましょう。
赤ちゃんにはそれぞれ「好きな寝姿勢」があり、その姿勢にしてあげると落ち着いて寝やすくなります。
それがうつ伏せである子も少なくなく、その場合、無理に仰向けに戻して寝かせようとしてもうまく寝入れないことが考えられます。そういうお子さんはうつ伏せの体勢の方が眠りに入りやすいのです。
ただし、前述したように絶対に安全な環境整備は欠かせません。安全ではない寝床で絶対にやらないでください。
柔らかいものが寝床になく(枕、掛け布団など)、マットレスにピンとシーツが敷いてあって窒息の要因になるものがない環境を整えることが条件です。
こちらの動画でも赤ちゃんの睡眠環境の整え方について解説しています。
赤ちゃんの安全のために
寝返り返りを習得するまでのねんねは、ハラハラしてとても心配だと思います。
大人である私たちにできる基本の対策は、安全な睡眠環境を整えること。そして、寝返り返りの練習を積極的に取り入れてみてください。
うつ伏せの方が寝やすいお子さんは寝入るまでしっかり見守り、寝付いたあと仰向けにひっくり返してあげるのが寝返り返りができるまでのお約束です。赤ちゃんもパパやママも安心して眠れるように、この記事がお役に立てば幸いです。