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自分の判断で変わるか決められた道を歩むだけか…世界各国の人生観をさぐる(2017~2020年分)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 人生はあらかじめ定められた道を歩むだけなのか、それとも…。(写真:アフロ)

人がどのような人生観を持ち日々の生活を営んでいくか、その内容はそれぞれ。自分の意思を尊重し信じ、判断次第でどのようにでも異なる未来が切り開けると信じる人もいれば、将来はすべて決められた道のりの上にあり、毎日はその道を歩むだけと考えている人もいる。いわば運命に関するとらえ方について、国による違いはあるのだろうか。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している「World Values Survey(世界価値観調査)」(※)の結果を基に、その実情を確認する。

今回焦点を当てる設問は人生観に関するもので、「個人の判断が影響を与えるか」というもの。これは人生というものが各個人の判断でどのようにでも変化をし得るものか、それとも個人の選択・判断も影響を与えることはなく、すべて決められた道を歩むのみなのか、どちらが回答者自身も含めた世間一般の考えに近いかというもの。いわゆる「宿命論」を信じているか否かという、哲学的な話ではある。

↑ 人生は自分の判断でどのようにでも変化しうるか、まったく自由が無くすべて決められた道を歩むのみか(1(固定)~10(自由)の選択肢での平均値)(2017~2020年)
↑ 人生は自分の判断でどのようにでも変化しうるか、まったく自由が無くすべて決められた道を歩むのみか(1(固定)~10(自由)の選択肢での平均値)(2017~2020年)

10段階で回答してもらい、その平均値をとっているため、理論的には中庸の値は5.50となる。その観点ではすべての国でその値を超えており、自由意思で人生はどのようにでも変えられるとの意見が全部の国で多数派を占めていることになる。

より高い、つまりより強く「自分の意思で人生を切り開ける」と考えている国はメキシコやコロンビアが上位についており、ラテン系の意思の強さが見えてくる(その割にはスペインがやや低めなのが気になるが)。また、アメリカ合衆国が上位にあるのも目に留まる。半ば強引にも見える押しの強さも、この意思による自己開拓的な心境が裏付けとなっているのかもしれない。

一方日本はといえば、今回の精査対象国ではギリシャに続いて低い6.05。中庸の5.50よりは上であるものの、他国と比べて多分に宿命論に縛られている、達観している感はある。日本人自身としても、この結果に納得する人も多いはず。

人生観は多分に個人の性質に加え成長時の周辺環境に左右されるため、その国の社会文化や環境が大きく反映されることになる。同じ人が別の国で生まれ育てば、成長の過程で習得する人生観も大きく変わっていく。

今件は各国出身の人達の行動様式を振り返る、あるいは今後の動向を予想する際に、少なからぬ参考となることだろう。もちろん個々の人の特性も大きく影響するため、型にはめて区分するのではなく、最終的には一人一人の内面を見極めるのが必要であることは言うまでもない。

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※World Values Survey(世界価値観調査)

世界100か国以上が参加して実施している国際的プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上85歳以下の男女1000サンプル程度(実際には1000~2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものはおおよそ5年おきに実施されているが、調査期間によって一時的に対象外となる国も少なくない。また現時点では集計が完全には終わっておらず、値が掲載されていない国もある。直近の調査結果は2017年から2020年にかけて行われたものだが、記事執筆時点で項目によって調査結果が掲載されていない国が複数確認できる(最終的な報告書は2021年秋に発表予定)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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