中国人女性、なぜ沖縄の無人島を購入?「中国人は中国で土地を買えないから」では済まない理由
ある中国人女性が沖縄県にある無人島、屋那覇島を購入したことが物議を醸している。
発端はこの女性が中国のSNSに「沖縄本島から約20キロの無人島を買った」と投稿したこと。すでに2年前に購入済みだったことも明らかになった。
購入したのは島の51%
報道によると、この女性は山東省出身の30代。親族が東京都内で不動産業や金融業を営んでいる。
女性は自身がこの無人島をバックに船に乗ったり、上陸して浜辺を歩いたりする動画を投稿。すると、中国のSNSでは「やった!領土が増えた」などの反応があった。
購入したのは約70万平方メートルの屋那覇島の51%に当たる部分で、現地の情報によると3億円くらいではないかと推定されている。
日本でこの問題が大きく報道されると、女性は再びSNSに投稿し「ただ美しい景色と心情をシェアしたかった」としているが、日本のSNSでは批判が相次いでいる。女性はなぜ無人島を購入したのか。
中国人は中国で土地を買えない
女性は購入目的として、「将来、自分が住むか子どもに残す。もしよいディベロッパーがいればリースすることもできる。アラブの王子様みたいな人に出会えれば売ることも考えられる」などと話している。
本当の購入目的は明らかになっていないが、女性の親族が経営する企業のホームページには「沖縄県の屋那覇島を取得して、現在、リゾート開発計画を進めています」とある。
電気もガスもない無人島でリゾート開発が可能かどうか不明だが、高額な買い物だけに、何らかの目的があって購入したことは確かだろう。
中国人は中国では土地を購入することができない。
中国では土地は国家のものであり、個人が土地を売買することは禁止されているからだ(土地の使用権は、地方政府または国家の許可を得れば取得することが可能。住宅の場合はその使用権は最長70年までとなっている)。
中国で分譲住宅の開発が進んだのは1990年代後半以降で、中国人が不動産を購入できるようになって、まだわずか20年ほどしか経っていない。
しかし、日本では外国人が土地を購入することに対して規制がないため、日本で土地(と建物)を購入したいと思う中国人は非常に多い。
多くは日本で働く在日中国人で、主に自分が住むためのものだが、富裕層や企業の場合、自宅以外にも複数カ所、購入することがよくある。いずれにしても、現実的に誰かが住んだり、ビジネスで使用したりするためのもので、法的にも問題ない。
だが、今回は場所が沖縄県の無人島で、そこから約62キロの距離に嘉手納基地や米軍基地に近いことなどが問題になっている。
日本の法律には抵触しないが
日本では昨年、重要土地等調査法が施行された。内閣府のサイトによると「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」となっている。
詳細は省くが、重要施設(防衛関係施設など)や、国境離島などの機能を阻害する土地などの利用を防止するためのものだ。
具体的には北海道、青森県、東京都などにある場所が該当するが、沖縄県は該当しなかった。
そのため、法律上は購入可能だったのだが、屋那覇島は地権が900以上にも分割されている「いわくつき」の島といわれており、そこを購入したことにも謎が残されている。
松野官房長官は2月13日の記者会見で、屋那覇島は重要土地等調査法の対象外だとし「関連動向について注視していく」と述べたが、中国には国家情報法という法律がある。
購入者は日本にある中国系の企業だが、もし中国政府から求められれば情報を提供する義務がある。
むろん、現時点でこの無人島で何かが行われているわけではないが、現在、アメリカなどで気球の撃墜が行われているなか、日本で数年前から確認されている気球も中国のものである可能性が指摘されている。
中国人女性が無邪気に「美しい島」といって喜んでいるだけでは済まされない深刻な問題に発展する可能性もある。