Yahoo!ニュース

メッツ対マーリンズ戦で両チームの1番打者が先頭打者初球本塁打を放つというMLB初の珍事が発生!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズン初の先頭打者本塁打を放ったメッツのジョナサン・ビラー選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLB史上初の珍事が発生】

 現地時間の9月2日に行われたメッツ対マーリンズ戦で、MLB史上初の珍事が発生した。

 両チームの1番打者が、それぞれの第1打席で初球を捉え、先頭打者本塁打を記録している。MLB公式サイトによれば、これはピッチカウントを記録として残し始めた1988年以降で初めての出来事だという。

 まずマーリンズのミギュエル・ロハス選手が試合開始直後に、メッツ先発のカルロス・カラスコ投手が投じた内角気味の速球を見事に捉え、左翼席に運ぶ今シーズン8号本塁打を放つ。

 そして1回裏に、今度はメッツの先頭打者ジョナサン・ビラー選手が、マーリンズ先発のサンディ・アルカンタラ投手が投げた94マイルの内角速球を振り抜き、今シーズン17号本塁打を右翼席に運んだ。

 この瞬間、MLBに新たな歴史が生まれることになった。

【ビラー選手は今季初の先頭打者本塁打だった】

 まさに運命の巡り合わせと表現するのが正しいのかもしれない。同じ試合で2人の1番打者が先頭打者初球本塁打を打つということは、誰の目から見ても奇跡に近い確率だということだけは理解できるはずだ。

 とりあえず両選手の今シーズンの打撃データをチェックしたところ、改めてその偶然性を確認できた。

 まずビラー選手だが、この日の試合前まで16本塁打を放っているわけだが、そのうち1番打者として放っているのはたった5本のみ。また初球本塁打に関しても4本に止まっていた。

 さらに今シーズンは33試合に1番打者として出場しているのだが、先頭打者本塁打に関しては今回記録するまでゼロだったのだ。

【すでに先頭打者初球本塁打を記録していたロハス選手】

 一方、ここまで50試合に1番打者として出場していたロハス選手は、今シーズン8本塁打しか記録していないが、1番打者としての本塁打数に関してはビラー選手と同じ5本だった。

 しかも今シーズンすでに2本の先頭打者本塁打を記録しており、そのうち5月8日のブルワーズ戦で放ったものは、初球を捉えたものだった。つまり今回はロハス選手にとって2本目の先頭打者初球本塁打だったのだ。

 今回の奇跡はロハス選手というよりも、彼の後に今シーズン初の先頭打者本塁打を放ったビラー選手による功績が大きいといえそうだ。

 シーズンも終盤に突入しポストシーズン争いや個人タイトル争いが熾烈を極める中、こうした奇跡が生まれるのも楽しみの1つではないだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事