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【加計学園問題】「2017年1月20日まで知らなかった」という安倍首相の主張は嘘なのか?

安積明子政治ジャーナリスト
新たな愛媛県文書の公表に、ロシア訪問どころではなくなった(写真:ロイター/アフロ)

愛媛県が新たな書面を公開

 愛媛県は5月21日、参議院予算委員会理事会での与野党合意に基づく国政調査権行使により、加計学園などとの情報共有メモや2015年4月2日の東京出張に関する「旅行命令簿」など書面を公開した。

 最も注目すべきは、愛媛県が加計学園からもたらされていた情報の開示だ。とりわけ2月25日には加計孝太郎理事長が安倍晋三首相と15分間面談して、加計氏が“今治市に国際水準の獣医学部を設置すること”を説明し、安倍首相が「そういう新しい獣医学部の考えはいいね」とコメントしたことが明らかにされた。

しかし安倍首相は加計学園が新設を希望する獣医学部が国家戦略特区に申請されていたことについて、「2017年1月20日まで知らなかった」と一貫して主張。また「加計孝太郎氏から一度も陳情を受けたことがない。陳情に繋がるような話題を非常に慎重に避けていた」(2018年4月11日衆議院予算委員会)と繰り返して否定していた。

加藤副長官との面会を隠れ蓑?

 そもそも国家戦略特区は2014年5月にスタートした制度で、加計氏が安倍首相に相談したとされる時(2015年2月25日)にはすでに安倍首相は国家戦略特別区区域諮問議会の議長だった。このメモが事実なら、安倍首相のこれまでの答弁は虚偽だったということになる。

 なお、官邸や加計学園は2月25日の面会を認めていないというが、首相動静には2015年2月25日午前7時50分から8時13分まで、安倍首相が加藤勝信官房副長官(当時)と面談し、その後に衆議院予算委員会に出席するために国会に向かうまで39分の空白がある。加藤氏といえば2015年2月12日に愛媛県、今治市と加計学園とで行われた打ち合わせのメモによれば、「イスラム国問題等で多忙を極める安倍首相と同学園理事長との面会が実現しない中で、官邸への働きかけを進めるため、2月中旬に加藤内閣官房副長官(衆・岡山5区、当選4回)との面談を予定している」と記されていた。

 またメモには陪席していた柳瀬唯夫秘書官(当時)から加計学園に資料を提出するように指示があったことも記録されており、柳瀬氏が5月10日に国会で証言した以上に獣医学部新設に深くコミットしていたこともうかがえる。

 24日にはロシアに飛び、26日にはプーチン大統領と会談する予定の安倍首相だが、その直前に再燃した問題に、どう答えようとするのか。

 

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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