Netflixで2200万人が観たゾンビ物『Sweet Home』は韓国版『アイアムアヒーロー』!?
Netflixオリジナル作品として制作された韓国ドラマ『Sweet Home』は2020年に配信が開始され、早くも全世界2200万人に視聴されたと報じられた。日本でも『愛の不時着』『梨泰院クラス』などに続く人気が期待される。
ではこれはどんな作品なのか?
■ダークな作風の作家によるウェブトゥーンが原作
『Sweet Home』の原作はウェブトゥーン(フルカラー縦スクロールマンガ)である。
作家のCarnby/Okomeは、特定の外見的特徴を持った女性だけを狙うサイコパスの連続殺人鬼を父に持ち、その凶行を手伝わされてきた主人公の少年が、父子で同じ少女に惹かれたことで、少女を守るために立ち上がる……というストーリーのウェブトゥーン作品『バスタード』で衝撃を与えた(日本ではLINEマンガで読むことができる)。
そのCarnby/Okomeの最新作が、自分以外の家族が全員交通事故で亡くなり、自殺予定日までカウントダウンを始めた主人公の引きこもり少年が、世界がゾンビ禍に見舞われたことで変わっていく姿を描いた『Sweet Home』だ(こちらもLINEマンガで読める)。
■韓国版『アイアムアヒーロー』!?
『Sweet Home』では、ゾンビといっても「ゆっくり歩く」「知能はない」「噛まれた人もゾンビに」「頭を吹っ飛ばすと死ぬ」というジョージ・ロメロ型とは異なり、その人が死ぬ前に強く抱えていた願望を反映した異形の姿になり、殺すには燃やすなどしてタンパク質を壊すしかない、という特徴を持つ。
また、感染してすぐにゾンビ化するわけではなく、人間をゾンビに変えさせる「何か」との精神戦に打ち勝てば人の姿を保っていられる。
死ぬ前の欲望を追い求め続ける点、ヒト型から逸脱した姿になる点、半人半ゾンビと共生・共闘していく点など、花沢健吾のマンガ『アイアムアヒーロー』と共通項が多い。
ただ、『Sweet Home』の魅力は『バスタード』同様に、いわくつきの人物たちの過去や人間心理のダークな面を掘り下げていくところにあり、作品としての印象はまったく異なる。
ドラマ版『Sweet Home』は、『ミスター・サンシャイン』や『太陽の末裔 Love Under The Sun』『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』といったドラマを手がけて韓国内外で絶大な支持を受けたイ・ウンボク監督によるNetflixオリジナル作品である。
それも、これまでNetflixオリジナルの韓国ドラマでは、1話あたり最高の制作費をかけていると言われてきたファンタジー大河作品『アスダル年代記』を超える破格の予算が投じられていると報じられており、前評判からして非常に高かった。
Carnby/Okomeのシビアでダークな作風と、イ・ウンボクの切なくハートフルな作風がいったいどう交わるのか? ここはぜひウェブトゥーン版とドラマ版を合わせて楽しんで確認してもらいたいところだ。