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岩隈とマリナーズの契約詳細が明らかになった ―マリナーズにとっては言うことなし!―

豊浦彰太郎Baseball Writer
結果的に当初のQOより有利な条件で、マリナーズは岩隈引き止めに成功した(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ドジャースとの契約が破談になった岩隈久志がマリナーズと契約するに至った背景についての意見はすでに述べた。

その後、当初は「1年プラス年単位で確定するオプションが2年」とのみ伝えられていた肝心の契約条件詳細が明らかになってきたので紹介しよう。共同通信によると、それは以下の通りだ。

初年度(2016年)は1100万ドルで、150イニングスに達したらプラス50万ドル、以下190イニングスまで10イニングスごとに同額ドルのボーナスが支払われる。ということは、最低保証1100万ドルプラス最大250万ドルで計1350万ドルだ。

翌2017年と2018年の選択権はマリナーズが握っている。岩隈の健康状態やパフォーマンスを見極め、それぞれ「契約する」「しない」をマリナーズは選択できる。契約する場合の最低保証額は各年1000万ドルだが、前年の投球回数が162回に達したていれば2017年は1400万ドル、2018年は1500万ドルとなる。そして、両年とも2016年同様に150イニングスから190イニングスまで10イニングス単位で50万ドルのボーナスが支払われる。

したがって最大では3年4750万ドルとなり、ドジャースと一時は合意した3年4500万ドルを上回る。

しかし、仮に岩隈がこのMAX条件を獲得できるほど健康に来季からの3年間を過ごすことができるなら、この契約はマリナーズにとって結果的にバーゲンとなる。ドジャースは加齢と健康状態のリスクも抱え4500万ドルをコミットしていたからだ。そして、マリナーズはもちろん岩隈が大きな故障に見舞われれば、来季の1100万ドルのみで彼をリリースすることもできる。

もともとマリナーズが岩隈に提示したのは規定のクオリファイングオファーの1年1580万ドルだった。結果的にはマリナーズはそれよりリスクの少ない条件で岩隈を引き止めることができたのだ。また、岩隈も健康問題を指摘されていながら自身の頑張りいかんではドジャースとの契約条件をわずかながら超えることも可能だ。双方にとって良い契約だろう。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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