日銀は12日の決定会合で国債減額を示すとの予測
日銀が5月31日に発表した長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の四半期予定(通称、オペ紙)によると、1回当たりオファー金額と回数については変更がなかった。
日銀は5月13日の国債買い入れで一部のオファー額を減額した。残存期間5年超10年以下対象が4250億円と前回の4月24日の4750億円から500億円減額したのである。3月に日銀がイールドカーブ・コントロールを解除してから初めての買い入れ減額となった。
日銀は5月21日に社債の買い入れオペ(公開市場操作)を通知した。買い入れ額を250億円減額し、これまでの1000億円から750億円にした。日銀は段階的に買い入れを減らす方針を示していたが、異次元緩和終了後初めての減額となった。
この二つは同じ減額ながら、やや意味合いが異なる。社債について日銀は段階的に買い入れを減らす方針を示していた。
このため5月13日の残存期間5年超10年以下の減額が市場にとってサプライズとなった。ただし、4月から国債発行額が5000億程度減額されており、本来であれば4月から買入の減額が実施されても何ら不思議はなかった。
しかし4月の金融政策決定会合後の会見で、「国債買入れについて今日の決定会合でどういう議論があったかというご質問だったと思いますが、これは今日の会合では6兆円で続けるということに関して特に反対は出なかったということでございます」と植田総裁は発言していた。
個人的には、これにかなりの違和感を持った。国債発行額が減額されるのに買入はそのままというのは、金融緩和圧力を強める結果となりはしないか。それによって円安の材料ともされかねないと。
ところが、4月の決定会合の「主な意見」のなかで、(国債買入を)どこかで削減の方向性を示すのが良い、日銀のバランスシートの圧縮を進めていく必要がある、国債の需給バランスを踏まえ、現状6兆円程度の毎月の長期国債買入れを減額することは選択肢であるといった発言が出ていたのである。
これからも5月13日の残存期間5年超10年以下の減額は4月の決定会合の委員の意見に沿ったものとの見方もできるかもしれない。総裁会見の内容とは合わないが。
減額の方針については4月の会合では明確にしなかった。このため6月13、14日の金融政策決定会合で正式に話し合われる可能性が高いと思われる。
日銀の内田副総裁は「今回こそはこれまでと違う」という発言をしていた。これは金融政策を普通のものに戻す宣言と個人的には受けとった。その意味でも日銀の膨らんだポートフォリオの縮小作業も今後は進められると予想されるのである。