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6大会連続狙う近江は初戦からピンチ? 京都はセンバツ出場2校に注目! 奈良はライバルが早期対決か?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
6大会連続の夏をめざす近江はエース・西山ら、投手陣の踏ん張りがカギ(筆者撮影)

 近畿の地方大会は6日の大阪、兵庫、京都、滋賀から熱戦の火ぶたが切られる。先月30日には、兵庫で開会式だけが行われ、いよいよ本番モードに突入した。現在、夏の大会で全国トップの5大会連続出場を果たしている近江(滋賀)は、中止となった4年前の独自大会でも優勝していて、夏の滋賀では6年間、負け知らずだ。その近江には、因縁の相手がいきなり立ちはだかる。京都は、センバツ出場の2校に注目。また奈良は、早期対決が予想される「2強」の動向から目が離せない。

近江に最後に土をつけた彦根東が立ちはだかる

 近江はセンバツで、エース・西山恒誠(3年=タイトル写真)を攻撃陣が援護できず、タイブレークで初戦負けした。その後は1年生の新戦力を加え、現状打破を図ってきたが、春の県大会決勝で滋賀学園に完封負け(0-1)し、課題は解消されていない。そして初戦(2回戦)の相手が、彦根東に決まった。校舎は徒歩圏内にあり、ベンチ入りできない3年生が夏の本大会前に行う「メモリアル試合」を恒例とするなど結びつきの強い間柄だが、近江にとっては最も嫌な相手かもしれない。夏の県大会で最後に土をつけられただけでなく、センバツが懸かった秋の県大会でも苦杯を喫しているからだ。

一昨年秋にも彦根東にセンバツを阻まれた

 7年前の夏、近江は決勝で彦根東の2年生エース・増居翔太(慶大~トヨタ自動車)に抑えられた。一昨年秋の対戦では、逃げ切りを狙って投入された西山が連続スクイズで逆転を許し、近畿大会出場を逃した。その後、西山はショックから不調に陥り、復調まで半年かかった。今チームの戦力比較だけなら近江が断然と言えるが、高校野球は一発勝負であり、ましてや初戦。何が起こるかわからない。戦力的には滋賀学園が、右腕・脇本耀士、左腕・高橋侠聖(ともに3年)の強力二枚を擁し、西山、左腕・河越大輝(3年)の近江と双璧。両校が当たるとすれば決勝になる。

八幡商の4番・脇坂は、巨人・横川、中日・龍空、ソフトバンク・前田悠伍らを輩出している湖北ボーイズ出身。1年夏から中軸で、飛距離も増してきた。好投手・田上航(3年)もいて、優勝候補の一角だ(筆者撮影)
八幡商の4番・脇坂は、巨人・横川、中日・龍空、ソフトバンク・前田悠伍らを輩出している湖北ボーイズ出身。1年夏から中軸で、飛距離も増してきた。好投手・田上航(3年)もいて、優勝候補の一角だ(筆者撮影)

 また八幡商が久々に投打とも戦力充実で、4番の脇坂航大(2年)は春の県大会で決勝3ランを放つなど、うまさとパワーを兼ね備える。昨春センバツ出場の彦根総合は、2年生の左右両輪が力を伸ばしていて、古豪・比叡山立命館守山瀬田工なども力がある。

春の近畿王者・京都国際は強力左腕二枚

 センバツに京都国際京都外大西の2校を送り込んだが、いずれも初戦敗退。その2校が秋に続いて春も決勝で顔を合わせ、1勝1敗で、この両校を中心とした優勝争いになりそうだ。京都国際は春の近畿大会でも優勝し、自信を深めている。

京都国際のエース・中崎は制球に優れ、安定感抜群。センバツまでは主将兼任だったが、小牧監督の配慮で藤本が主将になり、投球に専念できるようになった。西村の台頭もあり、投手陣に不安はない(筆者撮影)
京都国際のエース・中崎は制球に優れ、安定感抜群。センバツまでは主将兼任だったが、小牧監督の配慮で藤本が主将になり、投球に専念できるようになった。西村の台頭もあり、投手陣に不安はない(筆者撮影)

 エース・中崎琉生(3年)に加え、2年生の西村一毅が近畿決勝で智弁和歌山を破る原動力になった。強力な左腕二枚で古都の夏をリードする。攻撃陣も、センバツ後に主将となった4番の藤本陽毅(3年)が好機に強く、センバツ時よりも得点力が上がった。初戦で当たる京都成章小牧憲継監督(40)の母校でもあり、油断ならない。

外大西は多彩な投手陣を巧みに起用か

 ライバルの外大西は、秋から不動のエースだった左腕の田中遥音(3年)だけでなく、中軸打者でもある相馬悠人(3年)も実績十分で、計算できる。春の府大会決勝では、先発の木邨歩夢(2年)から4投手の継投で京都国際を2点に抑えた。本番でも例年のように、複数投手を巧みに使い回す上羽功晃監督(54)の必勝パターンが見られそうだ。秋、春とも不調だった龍谷大平安は巻き返しに燃える。投手に軸が欲しいところだ。昨夏代表の立命館宇治は、195センチ右腕の十川奨己(3年)が健在で、連覇を狙う。春に平安を破った京都両洋福知山成美京都共栄京都翔英などとともに、西城陽乙訓鳥羽などの公立勢が上位進出を狙う。

天理と智弁で代表の9割以上を独占

 奈良は1県1校となった昭和53(1978)年以降の45大会で、天理が22回、智弁学園が19回、代表になっている。残る4回は郡山が2回、桜井奈良大付が各1回で、特定の2校がここまで代表を独占(91%)する県は奈良しかない。また、多少の波はあっても、半世紀以上にわたるライバル関係が継続しているのも珍しい。そして今回もやはり、この「2強」による代表争いとなりそうだ。今チームの秋は智弁、春は天理が県大会で優勝していて、直接対決では天理の1勝となっている。

「2強」は準々決勝で対決か?

 天理は、1年秋からマウンドを経験している左腕の麻田悠介(3年)、主砲の松本大和(3年=主将)らの経験値が高く、遊撃手の赤埴幸輝(2年)ら、下級生も伸びている。就任早々、結果を出した藤原忠理監督(58)の采配にも注目したい。昨夏代表の智弁は、投手陣の整備が課題。

智弁の投手陣は左腕の田近が中心。昨秋は須磨翔風(兵庫)にタイブレークで敗れ、近畿大会初戦敗退。春は天理に敗れてシード権を逃した。夏の直接対決でリベンジしたい(筆者撮影)
智弁の投手陣は左腕の田近が中心。昨秋は須磨翔風(兵庫)にタイブレークで敗れ、近畿大会初戦敗退。春は天理に敗れてシード権を逃した。夏の直接対決でリベンジしたい(筆者撮影)

 期待の下級生が伸び悩み、左腕の田近楓雅(3年)を軸に、野手としても期待される右腕の巴田琉碧(3年)や左腕の浅井晴翔(3年)らで継投する。攻撃陣は、主将の知花琉綺亜(3年)や中軸の佐坂悠登(3年)らが経験豊富で、得点力が高い。智弁がシード落ちしたため、早くも準々決勝でライバル対決が実現する組み合わせとなった。緩急が武器の左腕・仲井颯太(3年)の高田商、秋の県大会2位の奈良大付などが「2強」と逆ブロックから上位を狙う。また、名門の郡山が久しぶりに上位を狙える位置にいる。

本大会では朝夕の二部制も

 今夏は甲子園誕生から100年で、初日から3日間、朝夕の二部制が試験的に導入される。酷暑対策は地方大会も例外ではなく、試合数を減らしたり、決勝を午前開催にしたりするなど、試行錯誤が続く。選手ファーストは当然としても、応援の生徒や保護者、高校野球を純粋に愛するファンにも配慮は必要だ。現場の意見に、より耳を傾け、関わる全ての人が力を合わせて、いい大会をつくり上げていってほしい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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