「体力的にはキツかった。でも…」新庄監督の先発ローテ中4日宣言の長所と短所を経験者・上原浩治が分析
BIGBOSSの着眼点がまた注目を集めている。報道によると、日本ハムの新庄剛志監督が先発投手陣の編成について「中4日」の先発ローテーションを理想に挙げた。実際、上沢直之投手が10日の楽天戦に中4日で登板。5回無失点と好投した。今後はこうしたケースが増えていくのだろうか。
メジャーでは一般的な中4日の先発ローテーションだが、日本では中6日でローテーションを組むのが一般的だ。メジャー時代に少しの期間だったが中4日を経験した立場から言えば、中4日の先発ローテには賛同できる部分と難しいのではないかと思う部分がある。
まず中4日で回すとなれば、100球前後での交代が基本線になる。そうすると、打者の3巡目ではマウンドを降りているケースが考えられる。報道で書かれていることが、新庄監督の狙いだとすれば、先発が打者2巡目までをしっかり抑えて中継ぎへつなぐという継投パターンは理にかなっていると思う。現役時代の経験からも、対戦が3巡目にもなれば、打者も球筋などに慣れ、打たれるリスクが高いと感じることが多かったからだ。6、7回に先発が失点するパターンは、3巡目の対戦と無関係ではないはずだ。
一方で、制球難で球数が増えれば、先発の責任投球回数の5回まで届かないケースも想定される。また、走者を多く出せば、3巡目の中軸打者との対戦が避けられなくなるケースが出てくる。打たれるリスクは高くなり、5回までに交代すれば中継ぎ以降の負担が重なる。
球数を減らしつつ、5回までに2巡目までの打者を押さえる技術を持ち合わせた投手を育てたいという指揮官の思いは理解できるし、理想的だろう。
ただ、中4日にすることで登板回数が増えたからといって、選手の査定アップにつながるという点には疑問もある。中4日で5、6回で降板した場合、勝ち星がつく確率はどうだろうか。勝利数が減って、登板試合数が増えた場合、投球回数や防御率などの要素も含めた査定が必ずしもプラスに働くとは言い切れないのではないだろうか。これまで通り、中6日で万全の調整をして投げたほうが好成績に結び付く選手もいるだろう。
では、選手の疲労度という点で中4日はどうか。中4日での先発は、結論から言えば、疲労が大きい。巨人時代、中6日の登板間隔だと、登板日の翌々日は完全オフに充てることができた。対照的にメジャーでの中4日の登板間隔だと肩、肘を休めるオフの日はなく、巨人時代にオフにあてていた登板日の翌々日はすでにブルペンで投げなければならなかった。中4日のほうが1試合で投げる球数は少ないが、それを考慮しても中6日のほうが楽だったというのが正直な感想だ。
新庄監督が中4日のローテーションを今季どこまで実行していくかはわからないが、選手にどのように伝えられているのかも気になる。シーズンに入る前に、中4日の調整を経験していないと、シーズン途中から調整を変えるというのは難しいだろう。
中4日、6日のどちらがいいかの論争はさておき、投手陣は「固定」して起用するのがいいのではないかと思う。先発なら中4日なのか、6日なのかを決めたら、そのシーズンは決まったローテーションで回し、中継ぎもどういう状況で登板するのかが固定する。そうすることで、投手は肉体的にも精神的にも登板に向けた準備ができる。その意味で、後ろの投手をオープナーで起用することには慎重な考えだ。自分がどの状況で投げるかをわかって準備できるのと、そうでないのでは、気持ちがかなり左右されてしまうからだ。選手がいかにリズムを作ってシーズンを過ごせるかは大事になってくると思う。もちろん、そのあたりは新庄監督も理解しているはずだろう。自らの考えをメディアに伝えつつ、実際の指揮はどう執っていくのか。試行錯誤を繰り返し、話題も提供する新庄監督の采配にこれからも注目したい。