「低調だったイチローは×、ヒジの故障なしの田中は○」2015年MLBの○と×
2015年のMLBの○と×を紹介したい。全て、私見に基づくものだ。年越しソバのお供にどうぞ。
1.日本人選手
○ 田中将大
規定投球回数に達せず、プレーオフでも期待に応えられなかった。しかし、右ヒジの故障を再発させることなくシーズンを乗り切った。2014年7月の故障発覚時から、散々「トミー・ジョン手術を受けるべき」とメディアや元選手が騒ぎ立てたが、手術を回避しPRPと呼ばれる再生治療法を採用したヤンキース球団医の判断は間違っていなかったことが証明された。医学書を1ページも読んだことがないメディアではなく、医者の言うことに耳を傾けるべき、という当然のことをわれわれは田中から学んだ。
× イチロー
4月には王貞治のNPB通算得点記録を日米通算で更新、8月には通算安打MLB歴代2位のタイ・カッブを日米通算で追い抜いた、9月にはこれまた王のNPB通算出塁記録を日米通算で抜いた。これは真に偉大なことだ。しかし、それらはみな過去の積み上げがあってのこと。冷静に「2015年」だけを切りだすと、相当深刻なシーズンだった。イチローは今季438打席だったが、打率.229は今季400打席以上の両リーグ210人中193位で、OPS(出塁率+長打率).561は最下位の210位だ。WAR(メジャー最低レベルの選手に比較し、それだけ多くの勝利に貢献できたかを示す)は、fangraphs版では-0.7で202位だ。年齢を考えると致し方ない、という意見もあるだろう。しかし、現役を続けている以上、シンプルに結果だけで評価するのが彼に対してフェアな対応だろう。
2.人物
○ アレックス・ロドリゲス
40歳で1年間のブランクがありながら、過去7年(出場停止の2014年も含む)で最多の33本塁打を記録した。轟々たる非難を浴びながらのこの実績には感服。ヒールの面目躍如。
○ アルバート・プーホルス
出塁率は年々低下も4年ぶりの40本塁打。意地を見せてくれた。
× ジョシュ・ハミルトン
過去に麻薬&アルコール中毒を克服したことで知られていたが、またコカインに手を出していたことが発覚。結局、「出場停止処分なし」も納得いかない。
× CC・サバシア
アルコール依存症でプレーオフを欠場。その前にはナイトクラブで乱闘騒ぎを起こしていたことも発覚した。
× ジョー・マウアー
打率.265&10本塁打と今や完全に並みの選手。一塁手としては失格だろう。捕手復帰も考えるべき。
× ヤシエル・プイーグ
元々怠慢プレーが多く、危険運転→酒場で乱闘と典型的転落パターン。
3.球団
○ ブルージェイズ
2013年に大補強も最下位。しかし、その後も諦めず補強を続けた。それが22年ぶりのプレーオフ出場に繋がった。7月末に補強したデビッド・プライスがオフにはFAとなり流出したが、彼の獲得は重要な地区優勝の要因。悔いはないだろう。
× パドレス
ブルージェイズの反対。大補強が即優勝に繋がるものではないと知れ。NPBのオリックスにもそう言いたいが。
× ヤンキース
開幕前には最下位予想もあったことからするとワイルドカード獲得は上出来。しかし、すっかりスターが減り、ずいぶん魅力のない球団になってしまった。
4.事件
○ ピート・ローズ復権認められず
当たり前。永久追放後、復権を認めるポジティブな材料はなにも見つかっていない。
× 史上初の無観客試合
4月29日のオリオールズ対ホワイトソックス戦は、ボルティモアの暴動の影響で観客を入れずに行われた。ベースボールは「国技」ではなく「国民的娯楽」だ。観客なしでは娯楽とは言えない(テレビ中継はされたが)。見落とせないのが、平均試合時間が3時間を超える時代に、きちんと9イニングを戦った試合(スコアは8対2でオリオールズが勝利)が2時間3分で終わったことだ。これは、無観客だったことと無関係ではなさそうだ。観客の存在を意識しないと投球間隔は短くなり、場内の電子オルガンが観客に拍手や歓声を促す必要もなく、その分試合時間が短縮されるというのだ。場内のエンターテイメントは時間短縮の障害か?
5.記録
○ マックス・シャーザー シーズン2度のノーヒッター
史上6人目の快挙。6月の1回目は9回2死からの死球。ただし、避ける意思なしのようにも見えた。閉幕寸前の2度目では許した走者は三塁手の失策のみ。シーズン完全試合2度すらあり得た?
× 7度もあったノーヒッター
いくらなんでも多すぎ。これでは、後年語り草にもならない。
× ジョン・レスター
本業の投げる方はまずまずだったが、メジャー初打席から58打数連続無安打の不名誉な新記録を樹立してしまった。これではセ・リーグ?