18歳以上の銃所有率、米国では3割
銃の所有が許可されている米国。その威力を悪用した犯罪が相次いでいるため、銃の所有権や規制に関する論議が交わされている。それでは同国ではどれほどの人が銃を所有しているのか。その実情を同国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年6月に発表した調査報告書「America’s Complex Relationship With Guns」(※)から確認していく。
まず最初に示すのは、世帯に銃が日常的にあるか否かとの観点で、自分か、自分の属する世帯の誰かが銃(拳銃、ライフル銃、ショットガン合わせて)を所有しているか否かについて。自分も世帯の他の人も所有の場合には「自分が持っている」になる。
自分も世帯内の他の人も誰も銃を持っていない、世帯内には銃所有者は一人もいないとの回答者は57%。この値は想像以上の多さと受け止める人もいるかもしれないが、高齢者による一人暮らしも夫婦世帯も皆含まれていることを思い返せば、納得はできる。
他方、回答者自身が所有している人は30%、自分は所有していないが世帯内の他の人が所有してるとの人は11%。合わせて42%(表記上は単純加算すると41%だが、小数点以下で合算すると42%になると報告書では表記されている。以下同)が世帯内に銃があることになる。
これを回答者の属性別に詳しく仕切り分けして確認したのが次のグラフ。
男女別では男性は本人所有が多く、女性は世帯構成員の誰かが所有している人が2割近く。年齢構成別では若年層は親と共に生活している人も多いことから、自分以外の誰かが所有しているとの回答率が多め。年上になるに連れて本人所有率が高くなる。50歳以上の1/3は本人が銃を所有している。
人種別では白人が、学歴別では大学就学者が多め。ヒスパニックや大卒以上は相対的ではあるが銃の世帯所有率は低めとなっている。
居住地域別では首都ワシントンが含まれる北東部で低め、都市レベル別では地方の所有率が非常に高い。また支持政党別では共和党支持者と民主党支持者との間で世帯所有率に2倍以上の差が出ている。政治的理念の違いに加え、居住地域が大きく関わっているものと考えられる(共和党支持者は地方、民主党支持者は都市部の居住者が多い)。
現状では世帯単位や個人での銃所有の有無はこのような形ではあるが、銃を持っていない人は今後も非所有を貫くのだろうか。現状と今後について尋ねた結果が次のグラフ。以前銃を所有していたが、今は持っていない人の場合は「非所有」として今後の姿勢を答えてもらっている。
現在非所有の人のうち、将来所有するかもしれないと考えている人は半分程度。現在は所有していないし将来も所有するつもりはない人は、全体の1/3でしかない。銃所有者が今後手放す可能性は否定できず、また新たに大人となる人がどのような判断を示すかにもよるが、この結果の限りでは今後も銃所有者の割合は変わらない、むしろ増える感は否めまい。
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※America’s Complex Relationship With Guns
2017年3月13日から27日と、同年4月4日から18日にかけて行われたもので、RDD方式によって無作為抽出された電話番号(携帯・固定を問わず)の対象者(18歳以上限定)に専用のウェブへアクセスし回答してもらっている。対象者がインターネットへのアクセス環境を持っていない場合は、タブレット型端末と無線インターネット接続環境が貸与される。対象者数は合計で3930人。国勢調査の結果に基づき、年齢や性別、学歴、居住地域、人種などでウェイトバックが実施されている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。