2024年、教育・こども政策は「こどもの意見表明・参画」があたりまえに #専門家のまとめ
「子ども・若者は権利の主体」、岸田総理もそう宣言したこども大綱が、2023年12月22日に閣議決定されました。
2024年は、こども大綱を受け、教育政策でもこども政策でも、「こども(子ども・若者)の意見表明・参画」が当たり前になっていきます。
しかし日本の大人は、子ども・若者の意見を聞いたり、いっしょにものごとをつくりあげていくことに慣れていません。
いったい何からどうすれば良いのか、ポイントとなる取り組みをまとめました。
▼校則見直しが、学校のあたりまえに―文科省も子どもの意見表明権・こども基本法を重視
求められる不合理な校則の見直しと改訂版生徒指導提要の概要(日本教育新聞,2023年7月5日)
※不合理な校則を子どもたちに押し付ける学校は、人権侵害を横行させ、どうせ変わらないという学習性無力感を子どもたちに植え付け、今の日本の停滞を招いてきました。
理不尽な校則を押し付けるハラスメント行為を教員がしてしまうことで、子どもたちがハラスメントを平気でする大人に育つリスクも高めてしまいます。社会にとって害悪を増やす学校教育で良いのでしょうか。
そうではなく、校則見直しを通じて「よりよいルールを対話でつくる」ことで、子どもたちの教師信頼感が向上し、自己肯定感や主権者意識も高まることが、経済産業省の実証事業であきらかにされました。文科省も、生徒指導提要で子どもの意見表明権・こども基本法を重視し、校則見直しを進めることを各学校に求めています。
▼自治体こども計画でも、子ども若者の意見反映が義務化―こどもの権利の条例も子ども若者とつくろう!
こども基本法に基づくこども・若者、子育て当事者の意見反映について(通知)(こども家庭庁・2023年11月17日)
※埼玉県子育て罰条例騒動を受け、こども家庭庁・加藤鮎子大臣が「こどもや若者、子育て当事者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずることが、国及び地方公共団体に義務付けられています」と発出した通知。
こども基本法第11条で、自治にも、もこども計画や教育など子ども若者に関することは、当時者の意見反映が義務づけられているのです。
意見反映の具体的方法は、こども家庭庁調査研究報告書に詳しく書かれています。「やさしい版・ポイント編」がおすすめです。
▼本物の政治家に、子どもたちが投票する「こども選挙」も全国各地で!?
「子どもだって投票したい!」小学生の市長への意見表明からはじまった山口県宇部市での「こども選挙」(NHK・政治マガジン・2023年11月16日)
※本物の市議会の政治家4名が立候補し、小学校が所在する「よりよい小野地区のための取り組み」を争点とした公開演説会・子どもとの質疑と、投開票が行われました。
教育委員会・学校、選挙管理委員会、宇部市議会の大人たちが協力して、本物の政治家に子ども・若者が投票するほんものの「こども選挙」ができるルールを作りました。全国での展開が期待されます。
真剣であたたかい「こども選挙」となり、終わった後に、子どもたちも大人たちも、とてもよかった、もっと一緒ににできることはある、そんな気持ちが共有される素敵な取り組みとなりました。
▼リバースメンター(若者の政策提言)、ユースセンター(若者の居場所)、ユースカウンシル(若者のまちづくり参画)、もあたりまえに!
発表会だけで終わらない!高校生自らが群馬県知事のメンターとして政策等を提言するリバースメンター制度(群馬県からの委嘱を受け、高校生の政策提言をサポートする笑下村塾HPより)
※若者政策は、こども大綱でも十分に盛り込まれず、自治体の動きが重要です。
リバースメンター(若者の政策提言)のほかに、尼崎市などで設置されているユースセンター(若者の居場所)、ユースカウンシル(若者のまちづくり参加、こども家庭審議会若者委員の原田伊織さんによるスライド)など、若者とともに政策やまちづくりを進める街は、人口減少社会にあっても活力ある消滅しない自治体になるのではないでしょうか。
大人が勝手に決め、子どもの権利はわがままだ、子どもが意見を言うなんて生意気だ、そんな風に子どもの人権侵害を繰り返してきた結果が、いまの超少子化が進み、停滞しきった日本です。
そんな日本を変えなくてはならない、だからこそ、子ども若者の意見表明をあたりまにしなくては。岸田総理だけでなく、子どもの権利を大切にする多くの大人が、こども基本法、こども大綱にこめた願いです。
2024年、あなたは、子ども若者の声をきかない大人のままで大丈夫ですか?
子ども若者の声を聞いたり、いっしょに考える大人になると、楽しいですし、より良い日本になっていきますよ。