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36歳。要領が悪すぎる専業主婦の妻と別れたい。2人の子どもは僕が育てます~スナック大宮問答集57~

大宮冬洋フリーライター
東京・代々木の酒場にて。離婚希望の男性と改めて語り合いました。(参加者提供)

スナック大宮」と称する読者交流宴会を東京、愛知、大阪などの各地を移動しながら毎月開催している。味わいのある飲食店を選び、毎回20人前後を迎えて和やかに飲み食いするだけの会だ。2011年の初秋から始めて開催140回を超えた。のべ2800人ほどと飲み交わしてきたことになる。
 筆者の読者というささやかな共通点がありつつ、日常生活でのしがらみがない一期一会の集まり。参加者は30代から50代の「責任世代」が多い。お互いに人見知りをしながらも美味しい料理とお酒の力を借りて少しずつ打ち解けて、しみじみと語り合えている。そこには現代の市井に生きる人の本音がにじみ出ることがある。
 その会話のすべてを再現することはできない。参加者と日を改めて対話をした内容をお届けする。一緒におしゃべりする気持ちで読んでもらえたら幸いだ。

***ユウタさん(仮名。既婚男性、36歳)との対話***

バツイチの女性たちと一緒に飲み、家庭の愚痴をひたすら聞いてもらいました

――先日は嬉しそうに飲んでいましたね。

 はい。バツイチのお姉さま方が3人ほど集まっているところに混ぜてもらい、家庭の愚痴をひたすら聞いてもらったんです。斬新なアドバイスをいろいろくれて、「そういう考え方もあるんだな」と参考になりました。

――それはよかったですね。酒場で知り合う人とはしがらみのない関係性です。お互いに言いたいことを言えるのは気持ちいいな、と僕も思っています。

 スナック大宮は自分のやりたいことをハッキリ持っていてすでに実践している人が多いな、とも感じました。自営業の方もいて、学校を卒業してからずっと勤め人の僕には知らない世界です。チャレンジャーですごいなと思います。
 10年前に転職してからはずっと同じ会社に勤めています。飲み仲間も同僚の50代男性たちです。同じ昔話を何度も話すのがおじさんですよね(笑)。でも、「それは聞きましたよ」と言うのも野暮なので黙って聞いています。楽しそうに話している人と飲むのは僕も楽しいです。

――どれぐらいの頻度で飲みに行くんですか?

 子どもが生まれる前までは週に4、5回は飲みに行っていました。平日に家で夕食を食べるのは月3回ぐらい。妻からは「夜ご飯を作る機会がまったくないんだけど」と言われていました。2人も子どもがいる今は週に1回に控えています。

転職をきっかけにして5年ぶりぐらいに参加してくれた女性客もいました。嬉しくてにやけているのが筆者です。(参加者提供)
転職をきっかけにして5年ぶりぐらいに参加してくれた女性客もいました。嬉しくてにやけているのが筆者です。(参加者提供)

子どもは保育園に預ければいい。妻には家から出ていってほしい

――さきほど「家庭の愚痴」と言っていましたが、奥さんとの仲が悪いんですか?

 とぼけた感じが可愛いと思って30歳のときに結婚したのですが、一緒に生活をして子どもが2人もできるとおとぼけでは済まないレベルだと知りました。専業主婦なのだから1日1回ぐらいは洗濯機を回せるはずなのにやっていなかったり……。僕が出勤するときにも寝ているし、昼間に何をしているのかよくわかりません。要領が悪すぎる。家事も育児も大半は僕がやっています。僕が一方的に彼女を嫌になってしまいました。

――な、なるほど……。

 子どもは保育園に預ければいいので妻には家から出ていってほしいと思っています。それを本人にも伝えたら「えーっ」と言うだけ。彼女の両親にもすでに離婚の意思を申し入れています。「すみません。娘は家事にも育児にも向いていないとうすうす思っていたのでやむなしです」との答えでした。

――ユウタさんはかなり要領がいい人なのだと思います。フルタイムで働いて、家事も育児もこなせる男性はなかなかいませんから。でも、自分と似たタイプの女性とは一緒に生活するとぶつかってしまうかもしれません。今はお子さんが小さくてイライラすることも多いと思いますが、奥さんの「鈍感力」みたいなものを面白がることを覚えれば、関係性を修復する余地はある気がします。

 スナック大宮で一緒に飲み交わしたお姉さまからも同じようなことを言われました。確かにそうかもしれませんね。またいろんな話を聞きに参加したいです。

会場と料理とドリンクを提供してくれたアイリッシュ・パブ「アンソラス」。雰囲気が良くてビールも旨い酒場です。また来年もこのお店を貸し切りたい!(参加者提供)
会場と料理とドリンクを提供してくれたアイリッシュ・パブ「アンソラス」。雰囲気が良くてビールも旨い酒場です。また来年もこのお店を貸し切りたい!(参加者提供)

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本性が出やすい酒場での人間観察は面白い。モテる2大要素は清潔感と可愛げ

 以上がユウタさんとの会話だ。酒場は人間の本性が出やすいので、どんな人が他の客や店員からモテているのかを観察するのは面白い。
 筆者の経験則では、清潔感と可愛げがモテの2大要素となる。清潔感には身だしなみだけでなく金払いも含まれる。外食の場なのになんとなくケチな人は高所得者にもいるが、そういう人は金に「汚い」と見なされて不人気となる。わざわざ外に出ず、自宅で高級ワインでも飲んでいればいいのだ。
 可愛げは「自分の経験や意見を率直に話すけれど聞く耳も持っている」人が発することが多い。他人の感性や意見に何の反応も示さない、違う見解を受け入れようとしない人はどんな素敵な外見でも親しまれない。人と人が出会うことで起きる化学変化のようなものを楽しむ姿勢がほしい。
 ユウタさんには清潔感も可愛げもある。だからスナック大宮でも彼の周りには常に人がいた。今の家庭生活は苦しいかもしれないけれど、奥さんのおとぼけぶりや自分の悪戦苦闘を少し引いた視線で見るなどの工夫をしてみてほしい。それを哀愁漂うネタにすれば酒場でますます喜ばれる存在になれるだろう。

チーママ(お店の選定と会計のボランティアスタッフ)をしてくれたS子さんとお店の粋な計らいで誕生日まで祝ってもらいました。これぞ役得!(参加者提供)
チーママ(お店の選定と会計のボランティアスタッフ)をしてくれたS子さんとお店の粋な計らいで誕生日まで祝ってもらいました。これぞ役得!(参加者提供)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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