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ウクライナ軍「2014年のロシア軍侵攻時にはドローンが少なくて大変だった。今では正確に監視し攻撃」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ウクライナ軍だけでなく、ロシア軍もドローンを監視・偵察、攻撃で多く使用している。「上空からの目」として戦場では欠かせない兵器の1つになっている。上空から敵の様子を探り、敵を発見したら、その場所をめがけてミサイル攻撃を行ったり、ドローンから爆弾を投下したり、神風ドローンが標的に突っ込んでいき爆発したりしている。これほど多くのドローンが戦場で活用されているのは人類の戦争の歴史上でも初めてである。

そしてトルコのメディアのTRT Worldがウクライナ南部のザポリージャの最前線にいるウクライナ軍兵士やウクライナ領土防衛隊のドローン部隊を紹介していた。動画の中ではウクライナ軍にとってドローンが戦場での監視・偵察、攻撃において必要不可欠な兵器であることからドローンオペレーターの訓練シーンなどを伝えていた。

ウクライナ領土防衛隊の兵士は「2014年にロシア軍が侵攻してきた時にはドローンがこんなにありませんでした。つまり上空からの目がありませんでした。当時はロシア軍の様子を探ったり、敵軍を見つけてすぐに攻撃することが困難でとても大変でした。今では遠いところから敵軍の様子をしっかりと監視して、正確に攻撃することができます。ドローンは我々の命を守ります。民生品ドローンのMavic3などを使用していますが、ドローンは地上の兵士では見えないものを上空から見ることができます」と語っていた。

ウクライナ領土防衛隊の兵士が語っていたのは監視・偵察を目的とした中国メーカーの民用品ドローン「DJI Mavic 3 Fly More Combo」で、世界中の市民からの寄付で調達したドローンである。ウクライナ政府が運営しているメディアを通じて世界中に寄付を呼びかけており「drone(ドローン)」と「donation(寄付)」を掛け合わせて「dronation(ドロネーション)」という造語も作っている。

ウクライナでは民用品ドローンは監視・偵察としての使用だけでなく小型爆弾や手りゅう弾を搭載して標的のロシア軍に投下したり、突っ込んでいき爆破したり、攻撃ドローンとしても使用されている。民用品ドローンと攻撃ドローンの境目がなくなったことはウクライナ戦争における戦術の特徴の1つである。

▼ザポリージャでのウクライナ軍のドローンの貢献を伝えるトルコのメディア

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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