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入院患者は対人口比率でも減少中…入院・外来率の推移(2022年時点最新版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
昨今外来患者が増えているように見えるが、実情は(写真:イメージマート)

医療技術の進歩とともに、多様な病症への対処法が確立され、医療施設で受療が可能となり、多くの人が病院へ足を運び、治療・入院するようになった。昨今の日本における対人口比の入院・外来受療率の推移を、厚生労働省が定点観測的に実施している「患者調査」(※)の結果から確認していく。

同調査によると医療技術の進歩発展や公衆衛生の啓蒙、社会インフラの整備などを受け、入院患者総数は漸減。一方、高齢化に伴い外来患者数は高齢者の増加を原因とし、総数はほぼ横ばいに推移している。

↑ 入院患者数(年齢階層別、万人)
↑ 入院患者数(年齢階層別、万人)

↑ 外来患者数(年齢階層別、万人)
↑ 外来患者数(年齢階層別、万人)

入院・外来動向に関して総数ではなく、対人口比率で見ると外来率は横ばい・今世紀に入ってからは漸増、入院率はわずかながらも減少の動きを示している。

↑ 受療率(受療種類別、人口10万人対)
↑ 受療率(受療種類別、人口10万人対)

入院率は1990年をピークに、少しずつではあるが減少中。医療技術の進歩に伴い、入院しなくても済む、入院が必要にしても日数が少なくて済むようになったからに他ならない。他方、外来受療率は横ばい、今世紀初頭からに限れば増加の動きすら示していた。これは高い外来受療率を示す高齢者の総人口比が増加したからに他ならない。また以前は入院が不可欠だった治療も、外来で済むようになった治療もあるだろう。

これを主要年齢階層別に区分したのが次のグラフ。

↑ 入院受療率(年齢階層別、人口10万人対)
↑ 入院受療率(年齢階層別、人口10万人対)

↑ 外来受療率(年齢階層別、人口10万人対)
↑ 外来受療率(年齢階層別、人口10万人対)

実のところ高齢者においてですら、入院・外来受療率は漸減している。先行記事で高齢層の外来・通院者数が漸増しているとしたが、それはその階層の総人口が増加しているからに他ならない。100人の1%は1人に過ぎなくとも、1万人の1%は100人にもなる。

気になる動きとしては、14歳までの子供においては、今世紀に入ってから外来受療率増加の動きが見えている。これは多様な可能性が考えられるが、喘息やアレルギーのように経年変化で増加している病症の治療を受ける人が増えてきたこと、過去においては病院に通うまでもないとしていた病症に対しても保護者の意識変化により通院させるようになったことなどが考えられる。

無論入院率は14歳までの子供でも減少しているため、単純に脆弱化したわけではないことは言うまでもあるまい。

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※患者調査

今調査の直近分は2020年10月20日から22日のうち、病院毎に指定した1日(診療所は10月20日・21日・23日のうち指定した1日)において、各状況を確認したもの。歯科診療所(いわゆる歯医者さん)は外来のみの調査となっている。患者数は調査日当日の該当人数(抽出調査のため統計値は推計)、退院患者(の在院日数)は同年9月に退院した患者の平均値となる。なお2011年分は震災の影響で宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏および福島県が未調査のため、それらの地域の統計値は未反映となっている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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