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台風の「風速○m」は、クルマやバイクの時速に直してみると、どれくらい強いかが実感できる、というお話。

安藤眞自動車ジャーナリスト(元開発者)
(写真:イメージマート)

 この記事を書いている現在、日本に大きな台風が近づいています。最大風速は50m、最大瞬間風速は70mと発表されれていますが、どれくらい強いのか、イメージできない人も多いのではないでしょうか。

 そういうときは、風速を時速に直して、自分の経験したことのあるシチュエーションを思い浮かべれば、実感が湧いてくると思います。

 風速は一般に「1秒間に風が何m移動するか」という形で表されます。単位でいうと「m/秒」となります。一方で、国産のクルマやオートバイのスピードメーターは「1時間に何km移動するか」、単位でいうと「km/h(時)」で表されており、ほとんどの皆さんは、こちらのほうが身近なのではないかと思います。

 風速を時速に直す計算は、非常に簡単。ただ「3.6」をかけるだけです。これならスマホの電卓で、すぐに計算できますし、暗算をする場合でも、4をかけて1割引くと、3.6をかけたのと同じことになります。

 例えば、熱帯低気圧が「台風」と呼ばれる条件が、最大風速17m以上であること。これは時速にすると、61.2km/hになります。オートバイに乗るかたは体験していると思いますが、ヘルメットシールドやゴーグルを着けていないと、目を開けているのが辛くなり始める速度です。

 「暴風域」は風速25m以上のエリアに設定されますが、これは時速にすると90km/hです。カウルのないオートバイでは、そろそろ風圧がきつくなってきて、上体を伏せたくなる速度です。ですから台風の風なら、足を踏ん張っていないと立っていられない強さということが実感できるでしょう。クルマの場合、ドアを開けたら風で持って行かれ、ヒンジが曲がってしまうこともあるかも知れません。

 今回の台風の最大風速は、その2倍です。だから威力も2倍、ではなく、風圧は速度の2乗に比例しますから、力は4倍になります。くれぐれも油断なきよう、防災のウェブサイトなどを参考にして、万全な対策を心がけましょう。

自動車ジャーナリスト(元開発者)

国内自動車メーカー設計部門に約5年勤務。SUVや小型トラックのサスペンション設計、英国スポーツカーメーカーとの共同プロジェクト、電子制御式油空圧サスペンションなどを担当する。退職後に地域タブロイド新聞でジャーナリスト活動を開始。同時に自動車雑誌にも寄稿を始め、難しい技術を分かりやすく解説した記事が好評となる。環境技術には1990年代から取り組み、ディーゼルNOx法改正を審議した第151通常国会では参考人として意見陳述を行ったほか、ドイツ車メーカーの環境報告書日本語版の翻訳査読なども担当。道路行政に関しても、国会に質問主意書を提出するなど、積極的に関わっている。自動車技術会会員。

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