NY金18日:FOMCのハト派評価とギリシャ問題で、大幅続伸
COMEX金8月限 前日比比25.20ドル高
始値 1,184.20ドル
高値 1,205.70ドル
安値 1,183.10ドル
終値 1,202.00ドル
前日引け後の米連邦公開市場委員会(FOMC)がハト派と評価されたことや、ギリシャ債務問題の先行き不透明感を背景に、急反発した。
FOMCでは総じて強めの景況判断が目立ち、利上げ着手の時期が接近していることが再確認できた。これを手掛かりにドル相場高・金相場安を一段と進めるシナリオも存在したが、マーケットではFOMCメンバーのFF金利予想が3月時点との比較で引き下げられたことを、ドル相場にネガティブ、金相場にポジティブと評価する向きが多い。利上げ着手の時期が近づいていることは間違いないものの、その後の追加利上げのペースが16年、17年と想定されていたよりも抑制されたものになるとの見方が、改めてドルから金に対する資金シフトを促している。
もっとも、これはあくまでも金融政策正常化プロセスのペースの問題に過ぎず、ドルの通貨価値回復の流れには変化がない。そもそも、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長なども、これまで繰り返して初回利上げ後の追加利上げペースは緩やかなものになることを確認しており、今回のFOMCメンバーの金利予想にサプライズ感はない。問題になるのは、ドル相場高・金相場安のペースダウンが迫られることのみである。今回のFOMCを受けて、金相場が上昇トレンドに転換するようなことはないだろう。
一方、ギリシャ債務問題に関しては18日のユーロ圏財務相会合でも合意には至らなかった。4時間の協議も新たな妥協点を見出すことに失敗している。このため、22日にユーログループの首脳級会合に格上げして、この問題を再協議する予定になっている。もはや、月内の救済プログラムの実施と資金供与は考えられない状況になっており、ギリシャと債券団の双方が延長のための妥協点を見出すことができるのかが問われる。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、6月30日までにギリシャのIMF向け債務返済がなければデフォルト(債務不履行)とみなすことを明らかにした。協議の時間が限られる中、ギリシャと債券団の双方にプレッシャーを掛けた形になる。基本的には月末までにデフォルトイベントを回避する方向で合意がまとまると見ており、ギリシャリスクを織り込んで金価格が上昇するような場面があれば、売り場になると考えている。ただ終着点が見えてくるまでは、リスク回避の動きが金価格をサポートすることは否定できない。
チャートでは、50日移動平均(1,193.40ドル)、100日移動平均線(1,200.20ドル)を上抜け、一目均衡表の雲上限(1,193.50ドル)もブレイク。200日移動平均線(1,207.90ドル)水準を抵抗ラインに設定できるのかが焦点に。