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【神戸市垂水区】10年で消えた人気観光名所「舞子タワー」があったこと覚えていますか?跡地を訪ねてみた

斎信夫(いつき)WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

神戸でタワーと言うと、今では神戸ポートタワーが唯一の存在ですが、1992年から2002年までの10年間、垂水区の舞子に「舞子タワー」が存在していたことをご存知でしょうか? そのタワーがあった地には、今「舞子タワー跡地」と書かれた石碑だけがひっそり佇んでいます。昔懐かしい映像とともに、その場所と跡地横にある「根上がり松」をご紹介します。

「舞子タワー」があったのは、兵庫県立舞子公園内の東端、旧武藤山治邸付近。

「根上がり松」があるあたりです。

舞子は、古来より白砂青松の舞子の浜として知られ、安藤広重の「播磨舞子の浜」でもその美しい光景が描かれています。しかし、長年の風や強い波により地盤が浸食され、根が地表にあらわれた老松も多く、それらは「根上がりの松」と称されていました。

その「根上がりの松」を再生しようという試みについて紹介している説明板が松の木の前に設置されています。明治40年頃の松林の「根上がり松」の写真も掲載。

再生事業は神戸県民局が中心となって2004(平成16)年から始められ、50年から100年の長い期間に亘り、松の苗を植え、育てていく計画です。

旧武藤山治邸の西隣に、「根上がりの松」再生事業のシンボルとして設置された小林賢二氏による彫刻作品「循環-根上がりの松」もあります。

このあたりに高さ103.5mの「舞子タワー」が立っていました。

「舞子タワー跡地」の石碑は、この「根上がりの松」のすぐ裏手に佇んでいます。

これです。

こんなところに高いタワーがあったなんて、今の舞子公園の光景からは想像もつきませんが、22年前の2002(平成14)年3月までは、間違いなくここにタワーが存在していました。30歳代以降の年齢の方なら覚えている方も多いことでしょう。

「舞子タワー」は、明石海峡大橋の建設工事を見学できるよう、神戸市都市整備公社(現、神戸住環境整備公社)が建設したもので、開業2年目には、約27万人ものの利用客数を記録。人気の観光名所として賑わっていました。

その後、1995年の阪神・淡路大震災で一時利用客数が減りましたが、1998年4月、明石海峡大橋の開通にあわせてリニューアルオープン。しかし、人気は長続きせず、老朽化の改修工事に多額の費用がかかることもあり、2002年3月で営業を終了、6月には解体されることとなったのです。

「舞子タワー」は近畿でただ一つの回転昇降式タワーでした。直径16m、定員100名の展望キャビンが右回りに上昇下降し、360度の大パノラマを楽しめるというもの。15分間隔で運行、所要時間は約10分でした。

回転昇降式タワーは、昭和40年〜60年代には全国各地にありましたが、現存するものは、弥彦山パノラマタワー(新潟県)、瀬戸大橋タワー(香川県)など、ごくわずかとなっています。

かつての「舞子タワー」の様子をぜひ貴重な映像でご覧ください。

ちょとふるチャンネルより

この動画には、360度ぐるっと回る様子が案内の音声とともに収められています。

nk-trainより

こちらは、1994年当時、明石海峡大橋工事中の様子です。舞子駅前の国道2号線沿いにあったマクドナルドを覚えている方もいるかと。懐かしいですよね。因みに筆者は、このマクドナルドの跡地に建ったマンションに昔住んでいたことがあります。

Moonshallows Musicより

元々、明石海峡大橋が完成したら撤去される運命にあったそうですが、わずか10年で消えてしまった人気観光名所の「舞子タワー」。その面影は今はもう何もなく、ただ「舞子タワー跡地」と書かれた石碑だけが当時の記憶を今に伝えています。

近くのアジュール舞子には、BE KOBEモニュメントもあります。舞子公園からアジュール舞子まで海を眺めながらブラブラするのもおすすめです。

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基本情報
スポット名:舞子タワー跡地(兵庫県立舞子公園内)
住所:神戸市垂水区東舞子町2051番地
アクセス:JR神戸線舞子駅、山陽電鉄舞子公園駅下車、南へ徒歩約5分。高速バス高速舞子バスのりば下車、南へ約5分

兵庫県立舞子公園 公式サイト

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WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

兵庫県西宮市生まれの神戸育ち。テクニカルライターを経て、1998年より会社を設立しWEBクリエイター、フリーライターとして活動。数々の旅行関連サイトを企画・運営。LINEトラベルjp元編集者兼ライター。沖縄と北海道が大好きで6年半沖縄市に在住。海外は特に台湾が好きで渡航回数10回以上。「週刊日本の島(デアゴスティーニ)」専属ライター&フォトグラファーとして沖縄、兵庫、瀬戸内等の33の島の記事を執筆。こちらでは地元神戸市の魅力を、時には動画を交えてお伝えしていきます。X(旧Twitter)、Instagramでも、神戸の最新情報や記事でのこぼれ話、その他の旅行ネタなども発信。

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