その名はa子、赤髪のシンガーソングライターから目が離せない理由 〜「惑星」が解き放つ極上のポップネス
●ポップ&メロウに溶け合う煌めいたサウンドセンスの高さ
2024年、最初の大きな地殻変動となるかもしれない。赤髪のシンガーソングライター、a子の躍進に注目すべきだ。Official髭男dismやKroi、TOMOOのヒットが目覚ましいポニーキャニオン / IRORI Recordsからのメジャーデビュー、初シングルとなるのが最新シングル「惑星」である。
アノニマス=匿名性高いアーティストネームが逆にアイコニックなa子は、2020年に本格的にアーティスト活動を開始。
2020年9月に1stEP『潜在的 MISTY』を自主レーベルlondogよりリリース。インディーズ時代、EP3 枚、シングル 15 曲をリリースしている。当時から、Spotifyなどストリーミング界隈での熱量高い盛り上がりはもちろん、2023年1月放送のテレビ朝日『関ジャム完全燃 SHOW』“プロが 選ぶ年間マイベスト 10 曲”にて、2022年8月にリリースした「太陽」を佐藤千亜紀が選出したことで知ったリスナーも少なくないはずだ。
a子の魅力とは、没入感ある深みを感じられる世界観の構築美、憂いや迷いを描いた生々しいヒューマニズムの葛藤、そしてポップ&メロウに溶け合う煌めいたサウンドセンスの高さだ。
●Spotify人気新譜プレイリスト『New Music Wednesday』TOPカバーを飾る
2月7日にリリースしたばかりのメジャーデビュー曲「惑星」は、ウィスパーヴォイスと呼応するせつない歌詞がくるおしい。それは、鋭い眼光を持つa子によるアーティスト活動における覚悟の宣言のようにも感じられた。
歌詞における〈ゆける、ゆける、熱いままよ〉というワードの強さ。
ピアノが牽引し、ダンサブルなビートに絡み合うギターカッティング。エモーショナルに高揚するポップネスが熱いのである。すでにSpotifyの人気新譜プレイリスト『New Music Wednesday』や、筆者が選曲を担当する『キラキラポップ:ジャパン』ではTOPカバーを飾るなど、現在メインストリームとなるストリーミングシーンからの評価も爆上がり中だ。
●煌めいたポップセンスと溶け合う、オリジナリティー高いa子ワールド
「惑星」のミュージックビデオにも着目したい。卵が割れ、SFライクにカラフルなコードに繋がれたa子が這い出す衝撃のヴィジュアルからはじまる“目覚め”のシーン。第三者を暗喩する人々の前でギターを演奏するa子、さらに深紅の部屋で捕えられているa子の2人が対峙するシーンなど、夢うつつな幻想的映像美を感じられる世界観の構築。
煌めいたポップセンスと溶け合う、オリジナリティー高いa子ワールドを創出している。
振り返ると4年前、まだ誰にも知られていなかった活動開始直後のa子にインタビューを試みたことがあった。当時からa子の視点は常に遠くの未来を見つめていた。他者との比較ではなく、a子ならではの王道=メインストリームを見定め照準としている凄み。そう、“そんじょそこらの”ニューカマーではないのだ。
すでに、昨年12月には大阪・Shangri-La、東京・渋谷CLUB QUATTROでのワンマン公演をソールドアウト。ライブではクールかつシリアスな作品性と相反するキュートな側面もMCで垣間見せたことも話題となった。そして2024年夏、大阪・UMEDA CLUB QUATTRO、東京・LIQUIDROOMにて『a子 Live Tour 2024 “Umbilical Cord”』の開催も決定。さらに、かつてKing Gnuも参加したアメリカ・テキサス州オースティンで開催される音楽、映画、インタラクティブをテーマにした複合イベント『SXSW 2024』ミュージックフェスティバルへの出演も気になるところだ。
2024年、赤髪のシンガーソングライター a子が日本の音楽シーンをいかに揺さぶっていくのか? 飛躍していくのか? そんな魅惑的な未来に期待をしたい。
■a子 オフィシャルサイト
■ライブ情報
『a子 Live Tour 2024 “Umbilical Cord”』
2024年8月3日(土)
大阪・UMEDA CLUB QUATTRO
開場17:00 / 開演18:00
YUMEBANCHI(大阪)
2024年8月9日(金)
東京・LIQUIDROOM
開場18:00 / 開演19:00
CREATIVEMAN PRODUCTIONS(東京)