NY金4日:米雇用統計を受けて一時急伸も、戻り売り優勢で小幅続落
COMEX金12月限 前日比3.10ドル安
始値 1,124.50ドル
高値 1,133.10ドル
安値 1,115.70ドル
終値 1,121.40ドル
8月米雇用統計の発表を受けて乱高下するも、早期利上げを支持する内容とのネガティブ評価の方が優勢となり、小幅続落した。
アジア・欧州タイムは米雇用統計の発表待ちでポジション調整に終始し、1,125ドル水準での小動きになった。その後、8月米雇用統計が発表されたが、当初は買い反応が優勢となり、一時1,133.10ドルまで急伸した。非農業部門就業者数が前月比+17.3万人と、市場予測+21.7万人を大きく下回ったことが材料視された結果である。ただ、7月分に関しては速報の+21.5万人から+24.5万人まで上方修正されていること、失業率が前月の5.3%から5.1%まで急低下したことで、最終的には早期利上げを支持するに足る数値との評価が優勢になり、改めてマイナス圏に沈んでいる。引け際には連休を控えてのショートカバー(買い戻し)が下値を支えたが、マイナス圏を維持して引けている。
8月雇用統計は評価が難しい結果になったが、労働参加率を前月から横ばい状態に据え置いた状態で、失業率を大きく押し下げたことは高く評価できる。平均時給も前年同月比では+2.2%と前月の+2.1%から上昇しており、賃上げ圧力のインフレ環境への波及効果も期待できる状況にある。非農業部門就業者数の伸びは明らかに期待外れだったが、7月分が速報から+3.0万人の上方修正となっているため、7月と8月の合計と考えれば、利上げ着手の流れに歯止めを掛ける程にネガティブな数値ではない。
これを受けて早期利上げ観測を盛り上げていくには不十分であり、なお9月米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに着手される可能性は高いとは言い難い。しかし、8月の世界同時株安が米雇用環境に及ぼした影響は限定的であったことが確認される中、金相場の本格上昇が許容できない相場環境という基軸部分に変化は見られない。なお株価が不安定な値動きを見せていることが警戒されるが、金融市場が適度の落ち着きを取り戻していけば、1,100ドルの節目は割り込む方向性が予測される。