「東急歌舞伎町タワー」開業で西武新宿線の人気回復始まる? 今がマイホーム購入の狙い目
西武鉄道の池袋線と新宿線は、首都圏において都心に向かう私鉄路線。西武池袋線と西武新宿線と呼ばれる。そのうち、かつて人気が高かったのは、西武新宿線のほうだった。
電車の本数が多く、中井駅や井荻駅、上石神井駅、鷺ノ宮駅など、歴史ある住宅地が広がる場所が多かったからだ。
西武新宿線の始発駅・西武新宿駅のほうが、西武池袋駅の始発駅・池袋駅よりも都会的だと思われたことも理由のひとつだろう。
しかし、近年は立場が逆転。練馬駅や大泉学園駅のある西武池袋線のほうが人気を高めるようになった。理由は、池袋の街のイメージが上がってきたこと。そして、西武池袋線には東京メトロの有楽町線と副都心線が乗り入れ、利便性が増したことも大きい。
一方で、西武新宿線には、「乗り換えが不便」という残念な点があり、それを嫌う人が増えたという事情もある。
始発駅の西武新宿駅からJRや東京メトロ丸ノ内線に乗り換えようとする場合、それぞれの新宿駅まで遠く、東京メトロ丸ノ内線の場合、地上を歩いて8分くらい、地下道では11分くらいかかってしまう。それを嫌い、隣の高田馬場駅でJR山手線に乗り換えようとすると、朝の通勤時間帯、乗り換えの通路が混雑し、時間がかかる。
さらに、西武新宿駅は歌舞伎町エリアに近く、そのイメージを敬遠する人もいる。結果として、プラス要素の多い西武池袋線の人気が上がり、分譲マンションの価格も池袋線沿線のほうが高い、という状況も生まれた。
しかし、この状況がそろそろ変化し、西武新宿線の人気が回復しそう。そうなると、注目度の低い今がマイホーム購入のチャンスとなるので油断ができない。
最初のきっかけになるか、東急歌舞伎町タワー
西武新宿線のイメージが変わるきっかけになりそうな出来事が2つある。
ひとつは、4月14日に開業する「東急歌舞伎町タワー」だ。国内最大級のホテル・エンタメ施設からなる超高層ビルは、じつは西武新宿駅のすぐそば、駅から道路を渡った先に位置する。
この新しいビルから歌舞伎町全体が変貌すれば、西武新宿駅は最先端スポットに直結する駅となる。
加えて、「東急歌舞伎町タワー」内のバス発着場から羽田空港と成田空港行きの高速バスも運行されるようになることも、利点となる。
今まで、「歌舞伎町に近い」ことが西武新宿駅のネックになっていたのだが、一転、メリットになるわけだ。
もうひとつ、JRや東京メトロ丸ノ内線への乗り換えに関しても明るい話題がある。
新しい地下通路で、乗り換え時間が大幅に短縮される?
現状、西武新宿駅からJRと東京メトロの新宿駅に向かうのは時間がかかる。地上のルートは信号待ちがあり、地下道を使って乗り換えようとすると、大きく迂回するルートとなってしまうことが原因だ。じつは、この迂回ルートを改善する計画がある。
新たな地下通路を新設しようというもので、新宿区が進める「東京都市計画通路 新宿駅北東部地下通路線」という都市計画である。
この計画は2021年の11月に決定・告示されている。といっても、まだ計画段階で、実際の工事は始まっていない。
この通路が完成すれば、西武新宿駅から丸ノ内線新宿駅への乗り換え時間は5分くらいで済むのではないか。現在、8分から11分かかる乗り換え時間が大幅に短縮される、と期待が高まる計画である。
新しい通路が造られるとおぼしき場所に行くと、今は行き止まりのように壁があり、ATM の機械が置かれているだけだ。
行き止まり部分は活用されていないし、地上部は公道なので、もともと地下通路をつくるつもりだったのでは、と思えてしまう。
この地下通路ができれば、西武新宿線の使い勝手は、飛躍的に向上するはずだ。
今なら、沿線の新築マンションは割安
大きくイメージを変える可能性がある西武新宿線だが、今はまだその前段階。他の地域から「西武新宿線沿線に住みたい」と思う人が集まってくる状況ではない。
そのため、西武新宿線の沿線では、割安感のある物件が目立つ。
たとえば、西武新宿駅から各駅停車で2つ先の駅・下落合駅から徒歩6分の「クレヴィア新宿中落合 EAST/WEST」というマンションは、3LDKが8000万円台で購入可能。新宿区内であることを考えれば、納得感が大きい。
低層マンションの「シティテラス石神井公園」は、上石神井公園駅から徒歩11分で、3LDKタイプが7000万円前後。「Brillia City石神井公園ATLAS」は、上石神井公園駅から徒歩12分〜16分で、1LDKが4398万円からの設定だ。
西武新宿線は、これから大きくイメージを変える可能性がある。その前がマイホーム購入の狙い目なのである。