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NY原油25日:短期的な下げ過ぎ感で反発、スピード調整の動き

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油10月限 前日比1.07ドル高

始値 38.18ドル

高値 39.89ドル

安値 38.16ドル

終値 39.31ドル

特に目立ったポジティブ材料は見当たらなかったが、短期的な下げ過ぎ感からショートカバー(買い戻し)が先行し、期近主導で反発した。

本日はアジアタイムから底固い展開になっている。中国株はなお不安定な値動きを見せているが、アジアで株価が反転の兆しを見せたことで、安値是正の動きが優勢にあった。特に、中国が利下げを発表した後は40ドルの節目回復を打診するような動きも見られた。結果的に高値は39.89ドルに留まったが、明日に米週間需給統計の発表を控えていることもあり、まずは売りポジションの利益を確定したいとのニーズが高まったことが窺える。

もっとも、仮に世界同時株安に歯止めが掛かったとしても、原油相場の戻り余地は限定されよう。石油輸出国機構(OPEC)の大規模増産、シェールオイルの生産環境改善といった動きに変化が見られない限り、需給緩和状態を解消する目処は立たない。中国発のリスクオフの動きが原油安のスピードを加速させたことは間違いないが、世界同時株安が発生する以前から、原油相場は急落していたことが重要である。

明日発表される米原油在庫は前週比200万バレルの増加が予想されており、季節要因からも徐々に原油需給の緩みがクローズアップされ易くなる。中国リスクを考慮に入れなくても、国際原油需給の緩みは決定的であり、なお価格低下で需給リバランスを促す必要性が解消されていないことを考慮すれば、戻り売り対応が基本となろう。一段安のためには期先限月を押し下げる必要性が高いものの、本格的な反発局面を想定することは難しい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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