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3年ぶりの帰省で子どもが親戚からお年玉をたくさんもらった!税金はどうなる?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

 3年ぶりに行動制限のない年末年始となり、実家に帰省した家族も多いだろう。子どもが親戚からお年玉をもらう姿は正月恒例の微笑ましい光景だ。3年分ということでたくさんもらった場合、税金はどうなるか。

常識の範囲内ならセーフ

 法律ではお年玉は贈与にあたるので、贈与税が問題となる。ただ、贈与された財産の性質やその目的などから、贈与税がかからない場合がある。国税庁によると、次のようなケースがその典型だ。

「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」

 お年玉は年始の贈答だから、その金額が「社会通念上相当と認められるもの」であれば非課税だ。国税庁は具体的にいくら以上なのか特定していないが、お年玉ということで常識的に考えると、数万円程度までであればセーフだろう。

 それも、正月に複数の人からもらった総額ではなく、1人1人の金額で判断すれば足りる。例えば、10人の人から1人1万円ずつもらったとすると、合計では10万円だが、1人あたりの贈与額は1万円だから、10人分が非課税となる。

 逆に、1人から数十万円をもらった場合であれば、お年玉として相当な金額を超えているということで、課税の対象となる。1月から12月までの1年間に贈与されたほかの財産の金額と合計し、基礎控除額である110万円を超えている部分に対し、超過額に応じた贈与税がかかるわけだ。もっとも、通常の家庭でこうした事態になることはまずないだろう。

提供:イメージマート

親の使い込みはNG

 なお、子どもがもらったお年玉を親が預かって管理すること自体は法的に問題ないが、勝手に使い込むのはアウトだ。親の財産と混和するのを防ぐため、子ども名義の預貯金口座を開設し、そこに入金しておくのがベターだろう。

 しかも、親の管理権は子どもが成人した段階で消滅するから、親は管理していた財産の収支を子どもに明らかにし、小遣いとして渡したものなど正当な使途分を差し引いた上で、残りを子どもに引き渡す法的な義務がある。

 ただし、たとえ使い込まれていても、子どもの親に対する損害賠償請求権は親の管理権消滅から5年が経つと時効になる。心当たりのある人は、成人後、手遅れになる前に、親に対して「子どものときに預かっておくと言っていたお年玉があったでしょ。早く返してよ」と請求しておく必要がある。(了)

【参考】

 拙稿「お年玉を親に預けたのに勝手に使われて返ってこなかったら? 法的問題を解説

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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