NY金9日:ギリシャ債務不安の蒸し返しで小反発
COMEX金4月限 前日比2.20ドル高
始値 1,169.60ドル
高値 1,174.40ドル
安値 1,166.00ドル
終値 1,166.50ドル
ギリシャ債務問題の蒸し返しを受けて、小反発した。
前日の急落を受けてアジアタイムは押し目買いが膨らむも、1,170ドル台を辛うじて回復する程度のレベルであり、予想されていたよりも「価格低下→現物需要拡大」のフローは鈍かった。上海金価格に対するプレミアムは対東京商品取引所(TOCOM)で1オンス当たり20ドル前後であり、高レベルではあるものの雇用統計発表前と特に目立った変化は見られなかった。
ただ、欧州タイムに入るとギリシャリスクの蒸し返しを受けて、金市場に対して退避需要が膨らむ展開になった。ギリシャが資金逼迫を回避するための債権者との協議に遅れが生じているとの見方が強まる中、ややリスクテイクに慎重ムードが強くなった。ユーログループのデイセルブルム議長は、過去2週間の議論は時間の無駄だったと指摘し、11日にこの問題を再協議することを明らかにしている。ギリシャ側は国民投票の可能性をちらつかせるなど、再び瀬戸際外交を見せており、先月合意した債務期限の延長合意が崩れるリスクが警戒されている。
もっとも、米市場は欧州株下落の影響を引きずることなく反発したことで、金相場もニューヨークタイムには上げ幅を削る展開になった。結果的に、前日終値を若干上回る値位置で引けている。
改めてギリシャ債務リスクが蒸し返されている以上、この問題の進展状況次第では金相場が再び買い直される可能性もある。ギリシャの債務削減に向けての本気度が疑われる状況になっており、再びギリシャのユーロ圏離脱といったテーマも浮上し始めている。ただ、ユーロ圏財務相会合では、ギリシャ政府の改革を前提に支援を継続する用意があることを示す一方、ギリシャ側も破綻は望んでいないため、最終的に合意は可能との楽観ムードの方が優勢に。この問題の見通しが立つまで金相場は売られづらい地合になるも、一時的な反発圧力の有無という視点で十分だろう。
来週は17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催も控えており、ドルが買われ、金が売られ易い地合に変化は見られない。同会合では、利上げ着手まで「辛抱強くいられる」との金利フォワードガイダンスも修正される可能性が高く、今後も各種指標や要人発言を確認しつつ、下値切り下げを打診する展開が想定される。予想されていた程に現物買いも強くなく、需要家の買い付けが拡大する水準を模索する形で、戻り売り優勢の地合が続き易い。