ユニクロ 韓国で収益爆増 まだある「不買運動下でも売れてる日本ブランド製品」
韓国でユニクロの営業成績が好調なのだという。
2019年夏からの「日本製品不買運動」やコロナの影響により、2019年9月~2020年8月の一年間の営業利益は883億ウォン(約85億8000万円)の赤字にまで転落した。ソウルの明洞中央店のような旗艦店もクローズする事態となった。
「NO JAPAN不買運動が原因?」 ユニクロ”韓国進出の象徴”明洞店が閉店へ 韓国内のリアルな反応
しかし今期の営業利益が、529億ウォン(約51億2700万円)の黒字にV字回復。国内最大手の経済紙「毎日経済」はこう報じた。
「ダウンコートを買おうと開店ダッシュ…ユニクロ韓国で529億ウォンの黒字に」
韓国では「ペディングコート」と呼ばれる商品。なぜ売れているのかというと「ユニクロ、コラボ限定版1時間でまた品切れ」(「朝鮮日報」11月12日)と報じられている。日本でも展開されている「+J」(ドイツのデザイナーJil Sanderとのコラボ)ラインなどが”バズってる”状態なのだ。
- 関連ニュースを報じるSBS
「不買運動」の雰囲気
当然、韓国内でもこういった見方はある。
「消えた`No Japan!`…ユニクロ国内で復活」(「韓国経済TV」12月3日)
不買運動のなかでも、売れている日本ブランド製品があるという文脈だ。
「確かに運動の影響でコンビニから日本のビールがなくなったなぁという感じはあります。『不買運動だから日本ブランド製品を絶対に買わない』というようなものでもないですよ。いいものはいいですから」(ソウル在住の20代男性)
こういった状況のなか、いったい2021年12月上旬時点でどういったものが売れているのか。
「韓国で売れている日本ブランド製品」
これについて韓国の大手ECサイトを調査しつつ、現地の人たちの声を聞いた。
不買運動時にも「絶対必要」とされたジャンル
韓国で圧倒的に”強い”日本製品。
それは本来、ECサイトにはあまり掲載されないモノが多いとも言える。
「精密機械や工具。伝統的にそのジャンルでは日本製品こそ圧倒的ナンバーワン。そういったイメージです。スマホやテレビなど電子機械については韓国が勝っていると思いますが、内視鏡や顕微鏡ではかなわない。2019年夏に日本製品不買運動が起きた時も一部で『健康診断はどうするんだ⁉』という声が挙がったくらいですから」(釜山在住の40代男性)
その流れもあり、精密機械の技術が入った「一眼レフカメラ」は日本製品の独壇場になっている。
「インスタント食品の定番」もランク入り
いっぽう、ECサイトを見ていくと「より日常に密着したもの」が見えてくる。
韓国最大手のポータルサイト「NAVER」のトップページからアクセス可能な「NAVERショッピング」の検索欄に「イルボン(日本)」と入れてみる。
すると「NAVERショッピングオリジナルランキング」順に商品が出てくる。NAVERが独自に売れ行きや商品の信頼度などを換算して出した数字だ。
1位は「ニビシ刺身醤油」360mlで、2位は「刺身用包丁」。これらは調査したタイミングにたまたま上位に入った印象だ。
そして3位には「カップヌードルセット」が入った。これは筆者自身「韓国人からの噂をよく聞く」というところ。東京に単身赴任中の韓国人男性(50代)がいう。
「韓国に住む娘が料理大好きで、よく日本から食べ物を送っています。カップヌードルシーフード味はリクエストランクナンバーワン。『日本の食べ物のなかでも最高級』と言っています。他にはこんにゃくゼリーやカレーの『LEE』の辛さ10倍がいいと」
「カレーとオリジナルの2種類を食べたことがあります。カレーは
韓国で食べるカレーライスとは違い、味に細かい仕込みがあるなという印象。オリジナルのほうはマイルドなんだけど、いろんな具の風味が入り混じって新しいものを作り出している感じ。めっちゃ美味いですよね」(釜山在住の40代男性)
ECサイト最大手での「日本」は?
一方、韓国国内ナンバーワンのECサイト「COUPANG」ではシンプルに「販売数」のランキングも検索できる。ここに「日本」と入れてみると、次のような結果が出た(12月8日現在)。
1位 寺岡家のたまごにかけるお醤油
2位 キユーピー 焙煎胡麻ドレッシング
3位 meito ロイヤルミルクティー(粉末)
4位 (韓国ブランドによる日本風うなぎ弁当)
5位 ゼブラ エスピナシャープ
6位 でん六 ミックススナックセット
食品群が圧倒的に多い。その他上位には「やきそば」や「だしつゆ」が入っている。
食品群が多い背景
この点は別の調査方法で調べても同様だ。
国内最大手の「COUPANG」には各ジャンルでの売上げランキングも存在する。
このランキングでは「韓国ブランド製品と競り合いつつ、日本ブランド製品で上位に入るもの」が分かる。「日本」と検索して調べる結果よりも、より正確に韓国内で人気の商品が分かる。
こういった”変化球”の商品が目に入ってきた。
「Bibigo 王ギョーザ」(加工食品ランキング6位/12月5日現在)
韓国の食品会社が発売しているものだが、韓国語での「マンドゥ」という言葉を使わず、日本式の「ギョーザ」と商品名に記してある。
日本と韓国、ギョーザに何の違いがあるのかと言うと、まずは「焼きギョーザ」が日本だけに存在する。そして日本の方が薄皮。こういった違いはギョーザのみならず、前述のラーメンの麺にも言えることだ。即席ラーメンの麺も日本の方がじつは微妙に細く、韓国のものは太い。
これらは「すでに認知度の高いものについて、韓国とちょっと違うものを求める」という傾向に当てはまる、ともいえる。類似文化の発見、というか。
「横綱」は「ビューティー関連」
そういったなかで、完全に”横綱”といえる商品がある。
ランキング上では、もう、他をぶっちぎるといえるほどの格だ。
「資生堂 専科 パーフェクトホイップ」
洗顔料。都内の大手ドラッグストアでは500円前後で販売されている。
この商品、COUPANGの「ビューティー部門全体」の3位に入っている。韓国ブランドなどと競り合っての結果だ。そしてこの商品のスゴさは、他のカテゴリー「生活部門全体」でも6位に入っている点。上位入りする商品自体が少ないなか、2部門でベスト10入りしているのは突出した「化け物」レベルといえる。
韓国からはこんな反応があった。
「日本旅行時には必ず買う、クレンジングフォームですね。韓国内では皮膚の内側の乾燥を解決してくれ、洗浄力もいいという評価です」(「スポーツ京郷」ライフ担当イ・ユジン記者)
今回話を聞いた東京に暮らす韓国人女性のグループも「これ、知ってる~」といい、高評価が次々と飛び出した。
「韓国に帰る度に、お土産として本当にリクエストが多い」
「めちゃくちゃ人気です。ふわふわの泡が気持ちいい」
「刺激が少なく、肌のトラブルになった話を聞いたことがない」
「つまりはコスパ最高」
日本でも12年連続売上1位を謳う商品、韓国では2017年に大手ドラッグストア「OLIVE YOUNG」の年間売上1位に輝いたこともある。2021年の今もなお、ECサイトで強さを見せるロングセラーとなっている。
こういった状況を「不買運動をやってるくせに、日本製品大好きじゃないか」とナナメに見るか、はたまた「不買運動でも売れる素晴らしい商品」と捉えるか。それは見方次第というところで。