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阪神が4番・一塁の穴をナリーグ本塁打王で埋めたとしたら

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

昨季メジャーで41本塁打を放ち本塁打王のタイトル獲得したクリス・カーター、まだ今季の所属先が決まっておらず日本行きの可能性が報じられた。

一旦金銭面の問題は考慮しないとして、一発のある一塁手を必要としている球団・・・昨季得点、本塁打共にリーグ5位に終わり現在の支配下登録選手が65人でまだ余裕があり、外国人も4人体勢の阪神じゃないか。右のスラッガーという点でも浜風の吹く甲子園とマッチする。

カーターは7年間で140本塁打を放った強打者で年齢もまだ30歳。これまで来日した選手には3Aで高成績を残すもメジャーでは結果を残せなかった選手やメジャーで一時代を築いたが下り坂となった選手が多かったがカーターの場合は今が働き盛り。過去4年間のシーズン本塁打は29本、37本、24本、41本と文句なしの成績を残している。

にも関わらずまだ契約するに至っていないのは確実性に大きな問題があるからだと言われている。一発はあるが近年の打率は.220台にとどまり昨季の三振数は200を超える。通算でも2645打席で875三振だからほぼ3打席に1回というハイペースで三振を喫している。四球率は11.6%と高いのが救いだがそれでも通算出塁率は.314。

カーターの昨季の成績をその選手が何点分の得点を生み出したかを示すRCに換算すると87.14。これはNPBに当てはめるとセリーグだと広島・田中の86.19とパリーグだとソフトバンク・中村晃の86.93とほぼ同じ。リーグ7位に相当し主力として立派な数字だ。昨季の阪神トップは福留の82.39だから頼りになるだろう。しかもメジャーでこの数字だから日本ではさらに上がる可能性もある。ただ、40発以上打ってこれでは少し寂しくだろうか。本塁打以外の成績がいかに芳しくないかがわかる。仮に来日して同じく40発前後の本塁打を放った場合、その内の何本かは試合を決める劇的な一撃となるだろう。しかしそれ以外の場面では仕事をすることが出来ず、下手をすればファンから「どうでもいいとこで打って肝心なとこで打たん」と言われかねない。

チーム事情としてもその前を打つ選手の陣容も不透明。昨季主に1番と3番で起用され136安打を放って新人王に輝いた高山は、四球が27個とかなり少なく出塁率は.316。実はカーターとほとんど変わらない。上位打線を打つ選手としてはもう少し上げたいところ。上位打線が思うようにチャンスを作れないとカーターのソロも空砲に終わる、または、チャンスを作れても肝心な場面でバットが空を切るというシーンが増えるだろう。

しかも守備力に不安を抱えているという。阪神投手陣は奪三振能力の高い先発投手が多いが内野守備が昨季より悪化するとさすがに負担が大きい。

4番と一塁という2つの穴をカーターで埋めようとすると投打共に穴が増える結果になってしまいそうだ。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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