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神戸のディフェンダー3人が戦列復帰へ。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

J2リーグ、31試合を終えて、現在、勝ち点62で2位につけているヴィッセル神戸。目標であるJ1昇格を実現するべく、常に上を目指して戦ってきたが、現実的に16節以降、ずっと2位にいたからこそ『プレイオフ圏』である3位との勝ち点差が気になっていたのも正直なところ。だが、前節、8月25日に行われた31節を終えて、3位・Vファーレン長崎との勝ち点差は9に。残り11試合ゆえ、まだまだ安心はできないが、3試合分の勝ち点差をつけたことは終盤戦を戦うにあたり、プレッシャーを軽減する要素の1つになることだろう。

そんな中、長らく戦列を離れていた選手が3人、ピッチに戻ってくる。DF河本裕之、DF相馬崇人、DF北本久仁衛だ。度重なるケガ等もあり、今季はここまで、なかなかピッチに立てていない3人だが、8月26日に行われたステップアップリーグ、関西学生選抜B戦では、DF相馬が62分、DF河本、DF北本が77分にわたってプレー。試合後には安達亮監督も「3人とも試合で勝負できる状態になっている。ここから先、終盤戦の大事な時期にメンバーが揃うのはチームにとって喜ばしいこと」と話し、ベテラン勢の復帰を喜んだ。

ただ、そうはいっても、ここまでの31試合、彼らがいてもいなくても、コンスタントに勝ち点を重ね、自動昇格圏である2位以内をキープしてきたことを思えば、今現在試合に出場している選手たちが、そう簡単にポジションを明け渡すはずはない。まずは、チーム内での熾烈なポジション争いを勝ち抜くことが使命となりそうだ。

「前節の福岡戦然り、今試合に出ている選手もいいプレーをしていますから。まずはその競争に割って入れるように、自分のパフォーマンスを追究したい。今季はキャプテンに就任しながら全く仕事ができていないので、キ残り試合ではャプテンらしい仕事を…と言いたいところですが、現実的にこれだけ試合を離れていたら、例えピッチに立てたとしても、最初は自分がカバーしてもらうことも増えるはずですからね。みんなに着いていくという感じになりそうですが(笑)、ただ、試合の中では自分の出来ることが必ずあるはずなので。それをしっかりピッチ上で魅せられるようにやっていきたい。(DF河本裕之)」

「練習試合レベルでは問題なくやれているけど、本番のゲームはまた違いますからね。悪くはないコンディションとはいえ、もう少しやらないと100%には届かないので、そのあと少しの部分をしっかりつめていければと思います。ここ2試合、いいサッカーが出来ているけれど、それが突発的に終わってしまっては意味がない。悪い状態の時にもここ数試合のサッカーを貫けるかが勝負になってくる。そのための力になれればと思います(DF相馬崇人)」

「これだけ長くピッチを離れていたのは初めてですが、もともとネガティブシンキングではない僕ですから(笑)。こうなったものはしょうがない、と割り切ってここまでリハビリに取り組んできたし、その中では、これまで知り得なかった手術した人の気持ちや病気で入院する人の気持ちを知ることができた。そういう意味ではこのリハビリ期間も決して無駄ではなく、自分にとってはプラスだったと捉えていますから。またそうした経験をしたからこそ、ピッチに戻るにあたっても、不安より、楽しみの方が大きいのかも知れません。ただピッチに立つにはまず、チーム内での競争を勝ち抜かなければいけない。その上で今季中に、必ず公式戦のピッチにたてるように、更に努力を続けたい。この世界、巧い選手がたくさんいる中で、僕の持ち味は、精一杯戦う姿勢。それを自分の最大の武器として競争を勝ち抜きピッチに立ちたいと思います(北本久仁衛)」

先にも書いた通り、長丁場のJ2リーグも残すところ11試合。今季の最低限の目標と定めて戦ってきた『J1昇格』を勝ち取るため、ヴィッセル神戸は全選手の力を結集させて終盤戦の戦いに挑む。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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